Evolution 2代目エスクードのサスペンションシステム
We are deeply in the ESCUDO.

 「Earth Touring 4×4」のキャッチコピーと共に登場した2代目。マイナーチェンジ後は「クロスカントリーセダン」というコピーへとイメージの変化を果たしている。
 これは初代同様のデュアルパーパス性能を、より際だたせたイメージへとスキルアップさせようとしたものに感じられる。
 2代目エスクードの骨格は、フルフレーム構造とストラットのフロントサスペンション構造を継承したが、リアサスペンションの構造は変更され、リジットタイプの5リンクとなった。
 メーカーサイドは、オフロード走行性能を維持しつつも、高速移動に対応したというが、実際にはオンロードでの乗り心地、操安性の向上を目的としたものだろう。
 筆者は、残念ながら2代目には数えるほどしか乗ったことがないが、その時の印象からも初代に比べてオンロード性能が向上しているのを体感できた。
 操安性とは違うが、静粛性も向上している。
 フロントのストラットは、形式・レイアウトを含めほぼ初代と同じなので割愛するが、2代目も1600シリーズはタワーバーが未装備である。
 2代目エスクードのリアサスに採用された5リンクリジットであるが、アームの配置から見ると、ラテラルロッド付きの4リンクとも言えよう。
 基本的な機能として、前後方向に上下2本づつ配置されたロッド(リンク)により、前後方向の入力およびねじれ入力に対応し、ラテラルロッドで横方向の入力に対応する。
 メリットとしては、軽量化が可能であり、ロッドの配置を変更することにより操安性は良くなるが、逆にデメリットとしては部品点数が多くなり、コストが割高になる。
ストラットタワーバーは2.0モデルの装備だった

2代目のフレーム構成

 2代目も初代同様、オフロード性能を考察してみる。
 結論はノーマル状態で初代同様「そこそこ」レベル。初代比となると若干ではあるが初代に軍配が上がる。(ハイパーレブ誌にて検証済み)
 その理由はリアサスペンションにある。
 リンク式サスペンションは先記した通り、良路においての操安性向上を狙ったものであり、各方向からの入力に対しタイヤのキャンバー変化を抑えるため、タイヤのグリップが得やすい。
 しかし、起伏によりタイヤに左右逆位相の入力が入るような路面では、上下配置のリンクが妨げになりタイヤのトレッドが接地しにくく、グリップが得られないのである。この点でキャンバー変化は起きるが、路面への追従性の良い初代のサスペンションが勝るのである。
 ただ、その差は僅かであり、リアサスペンションの形式が違えども、初代と同様のアプローチでタイヤの大径化、コイルによる車高UPでロードクリアランスを確保していけば悪路踏破性は向上する。
 基本的な注意点は初代と同じであるが、2代目特有の問題も存在する。
 リアサスペンションで横方向の荷重を受けるラテラルロッド特有の問題であるが、斜めに配置されているためリアアクスルが上下動したときに上側(ボディ側)取り付けを支点にして円弧運動となるため、タイヤの横方向の位置がずれることになる。
 ランクル等ではお馴染みであるが、これを補正するためにはこのラテラルロッドを変更する訳だが、アフターマーケットでエスクード用のそのようなパーツが存在したかは不明である。
 その他、2代目は国内販売の不振もありアフターマーケットのパーツが少なく選択肢が限られてしまうのが残念である。
 余談ではあるが、初代と2代目のショックアブソーバーには互換性がある。
 フロントストラットはABSセンサーケーブルの取り回しが違うだけで、取り付け寸法が同一であり、リアショックに至っては全くの同一寸法なのである。
 つまり、初代ABS未装着車には2代目のショックがそのまま取り付き、ABSセンサーケーブルの取り回しを工夫すれば2代目に初代のショックアブソーバーが取り付くのである。(もちろん初代ABS装着車にも工夫次第で2代目のストラットの取り付けは可能)
 ついでに言うと、初代・2代目のノーマルのフロントストラットには窒素ガスは封入されていない。
 サス交換時、縮んでしまっている、押しても伸びないからへたっている、と判断するのは早計である。それが正しい状態なのだから、油漏れさえしていなければまだまだ使えるのである。
前(写真左)、後(写真右)サスペンション
リジット式5リンクに改良されたリアサスペンション

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