Element's  2007.10.07 三浦半島ツーリング
We are deeply in the ESCUDO.
幌を開けて 空と海の街を行こう
 エスクードコンバーチブル・TA01Rは、1988年から97年までの初代モデル(国内仕様)にのみ存在した。と、過去形で書き出してはいけない。事実上の絶版モデルで、現役の個体数も少ないとはいえ、まだまだ元気に走り続けているのだ。
 車体・排気量共に大きくなっていく運命からはエスクードも逃れることができないなか、最もコンパクトなディメンションのまま、2つのスタイルを1台で共有できる、極めてユニークな存在。「コンバチ」「幌車」の愛称で親しまれているのは周知の通り。貨物登録のハードトップ・バンを別にして、ライトウエイト4WDの代名詞は、コンバチエスクにこそふさわしい。
 唐突に引き合いに出すのも失礼とは思うが、エスクード1600ccクラスのショートボディは、同時代に登場しているユーノスロードスター、NAシリーズに匹敵する重量。仕様によっては1tを下回る。ハードトップ・バンが最軽量である理由は、貨物車として必要・不要の選択肢によりパワーウインドーやエアコンの省略、シートの簡素化を施したことによる。
 コンバーチブルはそれらを装備しながら、リア側のパネルに代わって幌を採用していることから、5ナンバーエスクード随一のライトウエイトさを楽しむことができる。ジムニーJB23Wの6型でAT仕様と同等の軽さというのが特徴だ。
 オンロードはFRで、グラベルは4WDで。初期82馬力から最終100馬力までの非力で平凡なエンジンであっても、車体の軽さがそこそこのスポーティっぽさを保持してくれる。もちろん、ロードスターの速さにも、ジムニーの悪路走破性にも、絶対的な部分は届かないし、及ばない。むしろ、最近のボーイズレーサーと呼ばれるコンパクトスポーツが1.3tクラスで安全装備とパワー・トルクを備えているとすれば、コンバチエスクで走り込むのは怖いことかもしれない。そうであるにもかかわらず、01Rはどこを走っても楽しい。剛性の無さやアイポイントの低さに「どこが四駆?」と驚くが、ワインディングを駆け上がるなら、XSよりも駿足だ。

 三浦半島は、区間ごとの混雑や渋滞に遭遇したとき、コンバチエスクはちょっと路地裏に入ってみようかと、抜け道探しを気軽にできる(ただし敗退することも多い)。
 郊外では思わぬ旧道に迷い込むが、コンバチはほぼどこまでも行けて、どこからでも引き返してこられる。意外とリアス式の入江が連続する町から町へのツーリングは、頭上のデッキトップを開けるだけでも海風を取り込むことができるし、幌なんか取っ払っちゃえというのは言わずもがな。
 集まった01Rは2型から4型で、初期型の後半から中期にかけてのモデル。新しいものでも既に15年が経過しているが、肝心の幌がまだ新品で手に入るのは安心できる(2007年時点)。
 例によって、同じ仕様が1台もない。コンバチだったらそんなに変わらないだろうと思っていたのに、幌の色や材質、窓の構造まで、純正や社外品など、思い思いの選択肢によってコーディネートされていた。季節が動き始めたら、また幌車たちの集いを開いてみたい。

ツーリングの詳細はつくばーどでレポート掲載中

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