SCENES
We are constantly running at ESCUDO.
 エスクードのミニカーは、黎明期においてはその手の専門ショップやおもちゃ屋に並ぶものではなかった。
 フックトイかワゴン売りで、形もまあなんとなくエスクードだろうと思わせてくれるようなプルバックゼンマイ仕込みやワイヤードリモコンのB級以下玩具。それらをよく見かけたのは観光地の土産物屋や縁日の露店だった。
 それぞれどのような経緯で生産されていたのかは不明だが、どれをとっても形はピックアップトラックのようなデザインが泣かせる。
 次に現れるのはようやくおもちゃ屋やホームセンターもので、電動ラジコンにエスクードらしきデザインの製品が登場する。
 製品は大小さまざまだがいずれもマッドボギンかロッククロウリング仕様のような超大型タイヤを履かせ、大仰なグリルガードを取り付けているのが定番。
 金型が大きくなった分、デザイン自体はエスクードだと識別できるレベルになっている。大半はステアリングの切れないスピンターンギミックだが、中には8段階まで舵角を切れるものや、なぜかRR駆動もあった。
 これらの電動ラジコン製品はある程度のロットを売りぬいてボディーが変更され別の四駆として再販されるため、エスクードものも一定期間で姿を消してしまった。
 ところがRVブームが長く続いたこともあり、商標や塗装を変えて、何の前触れもなく復刻されたものもある。
 電動ラジコン以外に燃料エンジン搭載の本格的な商品も存在したが、もとになったレース車は途中からスカイラインGT‐Rのエンジンを積んでしまい、それを公表しなかったこともあるため当サイトではエスクードと認めていない。
 ジャンルを変えると、V6‐2000モデルをベースとした玩具が2種類発売された。
 ひとつはプルバックゼンマイ仕様のFR駆動玩具で比較的大きめだがスケール不明。写真は当時の車体色に再塗装されているが、商品はなぜか直4‐2000の車体色で成形されていた。
 もう一つは中国製のメタルモデルで小ぶりながらプルバック走行できるばかりか全てのドアが開閉でき、シートの可動もできた。どちらも今は入手不可能。
 このほかディティールを再現したものには唯一のプラモデルが1600ハードトップをベースに数種類のバリエーションで現在も手に入る。
 ミニカーと呼べる最初の製品は、イタリアのブラーゴから発売されたビターラシリーズ(2種類だが金型は同じ)が4色確認されている。これらは再販ごとにホイールのデザインが変更された。
 また、フランスのプロバンスムラージュからはまだスズキのエンジンを搭載していた頃のヒルクライムマシンがガレージキットとしてリリースされていた。
 ドイツのリーツェからは三代目のスケールミニカーがいくつものバリエーションで発売されている。三代目は国内ではコーヒー飲料の販売促進景品としてラインナップされた。
 2013年、突如として国内、海外で初代エスクード1600のほぼすべてのバリエーションが次々とリリースされた。すべて43分の1国際スケールでディティールも精密に再現され、誕生25年めにしてようやくまともな初代物のミニカーが日の目を見た。
 なぜこの年にこれほどの商品企画が実現したのかは謎だが、海外には根強いサイドキック、ビターラファンが存在し、この年が四半世紀のアニバーサリーであることを知っていたのかもしれない。
 一部製品は金型が流用され別ブランドで発売されている。

 
 二代目エスクードにはミニカー類は存在しないと言われていたが、デフォルメされたゼンマイ走行ものに、初代とも二代目ともつかない商品(右)が存在した。形はどう見ても初代なのだがカラーリングは二代目にあったものが用いられ、ロゴも二代目のものが使われている。
 さらに海外にはグランドビターラの、しかもどういうわけかディーゼルエンジン車をモデルとしたスケールミニカーの存在が近年確認された。
 尚、二代目はミニカーではなくキーホルダーやタイピンのヘッドとして、3ドア、5ドアモデル双方が、亜鉛合金ものとしてまだ入手可能だ。

 現在、四代目エスクードはついに国内有名ブランドであるトミカにラインナップされ、中国製をはじめ大小スケールの海外精密モデルがミニカーとして名を連ねている。
 歴代通して海外での知名度の方が圧倒的に高かったことが、嬉しいやら悲しいやらであるが、ひょっとするとこのようなミニチェアリリースの持つ影響力は、世界戦略車としての販売戦略には意外と重要な支援策だったのではないだろうか。
 80年代や90年代の国内商品展開を振り返ると哀れなことこの上ない。

 北海道遠軽町の「木のおもちゃの館」に展示されている、ヴィトラと表記されている木製玩具。正式名称は「Suzuki-VITARA  Spezlal1994」。
 1997年6月に同館が発注し、11月に品物が届いたとの記録。その年2月にドイツで開催されているおもちゃの見本市での視察時に、この商品を発掘したという。
 制作はドイツのザイファート社とされるがこの会社の詳細は不明。会社所在地には別の名前の木製玩具メーカーがあるが、関連も不明だ。
 そして突然飛び込んできた30年めの寝て待った果報。
 静岡ホビーショーにおいて参考出品されたイタリア・DORLOP社製(生産は中国)の18分の1スズキエスクードハードトップが、2018年9月頃に日本国内で発売されることとなった。
 ビターラでもサイドキックでもなく、右ハンドルの「エスクード」だ。内外スズキにおいて記念品として発注され、その流用市販でも実現するということなのか? そういった背景は全く分からないが、同一金型から起こされる3色がリリース予定となっている。

一部写真協力:コムロさん、Cyber‐Kさん
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