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尾上 茂 (おのうえ しげる)
1947年3月、神奈川県藤沢市生まれ。
22歳で有限会社尾上自動車を設立。1986年、一般自動車販売・整備業から「スズキジムニー専門」会社に転換し「アピオ株式会社」とする。現在は同社会長。
ラリードライバーとしての戦歴は1982年に始まり、エスクード初代、二代目モデルでオーストラリアンサファリ、アジアンラリーに参戦。1997年よりパリ・ダカールラリーを9回出走。3度の完走を果たした。
2018年、ジムニー歴史館を開館。 |
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五年前のことですが、二階堂裕さんとの対談をお願いした際、「不動車のコンバーチブルを持っていて、それをばりっとレストアして三十周年に乗り回したらかっこいいかな」と言われていました。
そんなことを話しましたね。あれは知人の整備工場に引き取られていたものを譲ってもらって、錆は進んでいたけれど全体はしっかりしていました。
以前、ダカールラリーに使ったV6ノマドをアメリカンピックアップに仕立て直したこともあったし、復元ならどうにかなるかなと思っていたの。
有言実行されましたね。実際にはどんな作業を行ったのですか。
エンジン、内装はそのままです。元気よく始動しました。シートはまあ、経年並みにやれてはいるけれど、当時のままに復元するなら社外品と交換するより汚れ落としでいいだろうと。さすがに幌は使い物にならなくて新調しました。まだ新品が調達できる。
車体の方は、特にエンジンフード先端の腐食が顕著だったことと、何か所かぶつけた修理の跡がありましたね。これがフレームにも影響していた。
そこを重点的に直した。
パネルやグリルは交換してしまえば修理の手間がかからないけれど、フレームはきっちりと修正しなければあとの走行にも支障が出ます。もちろんそれに気が付かない場合もあるけれど、歪みやずれを見てしまったら放置しておけない。
ジムニーと同じラダーフレームではあるけれど、エスクードは車体、フレームともに構造的に弱いように感じます。なぜだろうね、ジムニーでならぶつけた程度であんなに壊れないんだよね。
エスクードの構造や強度については、ダカールラリーでの車作りで多くのノウハウをお持ちですよね。
いろいろありますが、例えばこのコンバーチブルの時代はデフケースなどもアルミ製で、長距離を走るラリーレイドでは割れてしまう。これがV6の2000ccになったころから鋳物のパーツが使われるようになって、だいぶ頑丈になった。
あとはミッションの強化で、パワーのあるエンジンを載せられれば、全体的に軽量のエスクードは砂漠でも速かったんです。
残念ながらスズキのV6ではそれが適わず、いすゞのV6を使った。初完走はそれを載せた2代目エスクードで、あの車は今でもモンゴルラリーのオフィシャルカーとして走っていますよ。
エスクードを習作として、ずいぶん沢山のジムニーをレストアされました。
私個人のプロジェクトで、ジムニー歴史館を開くんです。そこに展示するために、入手できた古いモデルをきれいに直して保管してあります。
10台ほど、ジムニーの変遷が分かるものを展示して、これを上の階から眺めながらコーヒーでも飲めたら最高でしょう?
ホープスターON4WDもお借りすることができた。スズキの四駆の歴史の一コマには当然、エスクードも加わるので、コンバーチブルも並べますよ。ぜひ、開館を楽しみにしていてください。 |
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聞き手 ESCLEV 事務局 レストア中の写真等は尾上会長からの提供 |
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