2006年7月2日。
 茨城県筑西市の下館オフロードコースで、歴代エスクードが、個々の基本性能を知るための走行会に臨んだ。世代交代をしながらも、不思議なことに「無骨」「本格派」という言葉がついて回るエスクード。それぞれの世代ごとに、何を感じ取ることができるかを探ってみた。

 

 既にデビューから18年も経過してしまったエスクードの最初のモデルは、もはやユーザーのライフツールとして、かたちも用途も底辺が広がりきっている。バブル経済末期に産み落とされ、コンバーチブル、ハードトップ(並びにバン)、そしてノマド、5ドアというバリエーション展開が、当時はまだ確立されていなかったSUVカテゴリーも含め、四駆の市場の隙間を狙って的を射た。
 それだけに、柔な四駆とも言われたモデルだが、年月を経てライバルが増えてくると、そのデザイントレンドの変化も手伝い、あとになって硬派で無骨、と言われるようになった。
 それがなぜかと言えば、柔な四駆と評され、なにくそと奮起したエスクードユーザーのクロスカントリートライアラーたちの試行錯誤によるもの。すべてのエスクードユーザーがそうだということはないが、全てのユーザーの視点で見直せば、小型車枠(V6−2500を除く)で扱いやすい。壊れるけれどパーツは充実していた。等々、恵まれた9年間を過ごしている。なにより、ジムニーが下駄代わりに使えるなら、こちらはスニーカー感覚で乗りこなせ、ちょっとカジュアル(スズキ比)でもあったから・・・かもしれない。

 

 初代の特徴は、同じ基本骨格の中で様々なエンジンを体験できたことだろう。
 G16Aは8バルブと16バルブ。J20Aは歴代に及ぶ直4スタンダード。H20Aはスズキ初のV6として誕生し、H25A、H27Aへと進化していった。H27Aだけは2代目以降のエンジンだが、5世代に渡るエンジンの変遷(H20Aには前期型と後期型もある。他のエンジンも、厳密に言えば細分化できる)が行われるほど、軽自動車トップメーカーという看板を掲げるスズキにあって、優遇された車種でもあるのだ。
 どのモデルを選択するかは、ユーザーの好みによって大きく分かれるが、まったく同じコーディネートとなかなか巡り会わない、ユーザーの個性が反映されるモデルという点では、ジムニーよりも変わり種の車種ではないだろうか。コミューター、ツアラー、バリバリのクロカン仕様と、たとえメディアに「既に基本設計もデザインも古くなった」(そんなの18年もすれば当たり前のことだ)と言われようとも、ユーザーたちは飽きが来ない。これは四駆のモデルサイクルが長いということにも起因するが、「好きで乗っている」という言葉が、なんのケレンもなく出てくることが、どれほどの自動車について語れるだろうか。
 
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