TA52W TL52W TX92W 見かけではない実力

 2代目はGMの影響下に置かれたスズキが、北米人気を意識しすぎたシボレーフェイスが仇となって、厳しい評価を受けながらデビューした。マイナーチェンジ以降の2000ccシリーズと、2700ccのグランドエスクード(3型まで。4型や特別仕様は別の評価軸を持つ)が、いかにフェイスリフトに苦心を見せたかがわかる。初代の雰囲気をいくらかでも取り戻そうというグリルデザインの変更は、結果的には初代よりも面構成の複雑な、彫りの深さを実現している。全身の面取された柔らかいラインは、アクの強さこそ無くしたけれど、エスクードの質感を確実に向上させている。
 モデファイ用パーツの少なさが悩みの種というハンデも背負っているが、彼等の車体はどこからか少ないはずのパーツを見つけ出し、知らぬ間に手が加えられ、あるときは手作りに近い領域にまでクルマいじりが及んでいる。
 

 丸みを帯びた2代目たちが、リアサスの設計変更を受けて、エスクードとして退化してしまったかと言えば、それは違うだろう。もともと2代目は、初代の基本性能をベースに、よりオンロードでの走行性能を向上させたモデルだ。そして彼等ユーザーたちは、さらにそこを出発点に、一つ上のオフロード性能を附加しようと工夫している。そうした目的と楽しみを受け入れる余地がなければ、オフロードコースにやってくる2代目自体が、いなくなるはずだから。
 もちろん、初代モデルの世代交代が進んでいることもあるが、最近気がついたことは、2代目と接する機会と台数が、確実に増えていることだ。一度下された評価は背負わされたたままの2代目だが、少しずつその評価は変わってきている。


 コンパクト(というよりマイクロ)、クロスカントリー性能、高速クルージングの快適さ。
 ジムニー、ランドクルーザー、ステージアには、それぞれエスクードを凌駕し、追随させない魅力がある。
 エスクードはそれらの公約数を満たそうと代替わりしているような気がする。公約数である以上、ぬきんでることは困難なのかもしれない。それでも、身近に存在し、存在したこれらのクルマたちを、追いかけていくことは必要なことでもあろう。

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