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岡山の(株)オフィスミッション・JXCD運営事務局が主催し、全国を転戦しているタイムアタック式ダートトライアル。5年目のことし、島雄司さん率いるWESTWINも新しい段階を迎えた。08年に参戦と同時に台風の目となった愛弟子・川添哲郎選手とパジェロミニは、昨年のブランクを経てターボの改良とLSDを組み込んでの復帰。エントリーリストの時点で各チームからマークされる。 ノーマル車主体のNクラス(N1)での川添選手の走りは健在。しかし強豪揃いの混戦。そのなか、三位を獲得した。 もう一人、昨年から出走している後藤誠司選手は、エスクードTA01Rで参戦している磯田貞治選手に刺激され、昨年のマシン、パジェロエボリューションをエスクードにスイッチした。こちらはエンジン、サスペンションともノーマルながら、DOHC(16バルブ)2.0のTA51Wである。 「磯田さんと同じクルマで戦いたいです。01Rはかつて、うちの監督も乗っていた、思い入れの深いクルマだから」 後藤選手はOHC(1カム16バルブ)1.6のTA01Rを希望したが、これについては、彼がメインで走るPクラス(6点式シートベルトやロールケージを組み込んだNクラス車両ならびに、改造車)に主眼を置くなら、戦う相手は彼自身が乗っていたパジェロエボをはじめ、磯田さんだけではなくなることを考慮し、51Wを推薦した。 地元九州では「ツインカムのエスクードなんて反則だ」とも言われたそうだが、そこは51Wを推したESCLEVに責任がある。 このエスクードに搭載されているJ20Aという直4エンジンは、初代後期に登場し、3代目前期まで、歴代エスクードを唯一ひとつの血統に結びつけているエンジンだ。2010年時点では2.4一種に変更されているが、このJ24Bもまた、J20Aを苗床に開発されている。 後藤選手は、エスクードの進化の形を背負い、磯田選手はエスクードの原点(G16A)で迎え撃つ。 島監督はエスクード本来の性能を引き出すために、その旋回性能を維持しつつ、直進安定性に手を加えた。車体全体のマスの集中を重視した軽量化と、車体デザインを変えずにワイドトレッド化を果たしている。このクルマを熟知していなければ、全幅が若干拡大されていることは気づかないだろう。 サスペンションはスズキ純正のまま。LSDもメーカーオプションものを組み込み、大きな改造は成されていない。排気系はオリジナルに造り起こしている。リアウイングは賛否分かれる中、後藤選手の茶目っ気で採用された。 「まあ・・・戦う四駆はかっこいいことも大事ですよ」(島監督の苦笑い) P1クラスのトーナメントでは、後藤選手も台風の目となった。どんな対戦者とぶつかるかも運。その相手が万に一つの不測の事態を迎えることも運。しかし同じ目に遭わずに走り続けることも、やはり運であるなら、それも実力のうちだ。 もちろん彼は運などに頼らずその速さを発揮し、決勝ラウンドまで勝ち残る。そこに待ち受けていたのが、ダートラ用足回りの徹底化を図っているTA01R、磯田選手だった。 JXCDでもおそらく初の、エスクード対エスクードによる決勝。この意外なカードに、すべての視線がコースに釘付けとなる。 磯田選手、1分12秒043 後藤選手、1分13秒727 「ことしは西日本の大会ばかりで遠いので、出る予定はなかったんだけれど、WESTWINの熱いエピソードを聞いたら、受けて立たないわけにはいかないでしょう」(磯田さん) 見事な返り討ち。しかしこのあと開始されるP2クラスの第1ラウンドは、後藤、磯田の組み合わせ。矢継ぎ早の雪辱戦に、場内も沸き返る。後藤選手はミッションの不調が始まる中、1分13秒528へとタイムを詰めた。続いて戻ってきた磯田選手は1分13秒617! 何が起きたかの推測詮索は無しだ。「ここまできたら、どこまで行けるかやってみなよ」。磯田さんのエールに送られ、後藤選手は二回戦へと進むが、遂にタイトコーナーの横Gに耐えきれず、ミッションが抜けてしまう。 あっけない幕切れだが、WESTWINにとって、この瞬間から次のレースが始まったのだ。力試しはここまでだ。川添、後藤両選手は、まだまだ速くなる。彼等の走りは、当分目が離せない。 |
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