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いよいよ本年の最終ステージ第三戦。エスクードとパジェロJトップの闘いを繰り広げる後藤対廣瀬という天王山を軸に、過給圧コントロールを新たに組み込んだ川添パジェロミニがどこまで舞台をひっくり返すか。
「実は川添くん、金曜日になって突然、私の白エスクードを貸してくれと持ち出して行って、最後の最後になってまでどちらを使うか葛藤していました。パジェロミニは過給圧のコントロールスイッチを設けて1.1まで上げられる仕様にしたものの、彼は3500ccとの比較でミニを見ているので、それでもパワー不足だと訴える。しかしこの車に関しては、もうタービンも限界に来ているので、1.3まで行ったら確実に壊れてしまう」 島監督も、パジェロミニについてはやれるだけのことをやったと祈るような面持ち。川添選手の闘志に賭けています。一方、後藤選手は言わずもがなのタイトルディフェンディングというプレッシャーを背負い、メンタル面でリミッターを外しての参戦。このようなコンセントレーションの中、レース開始直後の中継は、予想もしていなかった事態に。 『パジェロミニ、慣熟走行中にマシントラブル、川添君に怪我はないもののエンジンかからず。予選は白い奴で出ます』 この一戦のために背水の陣で臨んだといってもいい川添選手に、パジェロミニは応えることなく戦線離脱。Tカー使用という措置は異例中の異例ながら、彼の窮地に力を与えるのは、TA51W! 先日のXCダート耐久で破損・リタイアし、修復されていたエスクードとなった。 一方、慣熟走行時における後藤選手のタイムは1分18秒。これに対して、シーズンタイトルを争い、後藤選手が目標として追いかけ、まさにポイント拮抗している廣瀬選手は1分17秒を刻んでいた。トレッド、排気量、パワー・トルクの全てを我が物のように扱うパジェロJトップのゼッケン2は、エスクードのゼッケン1を奪い返そうとする勢い。 「そうですか! それならいけます。行ってきます」 気温は20℃を越え、ドライバーにとってはトーナメント戦も耐久レースに近いスタミナを要求する。参加15台、逃げ切りと追いかけの二本立て1セッションを繰り返し、ベスト4は順当な勝ち残りで、ヒロセ自動車対ウエストウインの構図となる。後藤選手にとっては今回、タイヤこそが何よりの武器になった。 「Jトップはハイパワーゆえに体力消耗しますね。勝ち進むごとに走りが粗くなる場面が見えていた。それはエスクードにも言えることだけれど、ドライバーが若い分だけ消耗の度合いが少ない」 こうして後藤選手は、名実ともにゼッケン1の資格をもぎ取ったが、来シーズンはさらに厳しいレースを強いられる。しかし彼の単純さと素直さにはまだ伸び代がありし、エスクード自体が、メカチューンと言っても極めて少変更の域。こちらにも戦闘力を上げていく余地が残されている。 「それにしても、川添君のクレバーさを、改めて思い知らされましたよ。パジェロミニのトラブルは精神的に参ったはず。理由は単純なミスだったからです。ところがエスクードで出る決心をしてからのかけ引きが草レースの粋ではなかった」 耐久以降修理しただけの、後藤選手のエスクード以上にノーマルのエスクードは、タイヤも三分山。クランクシールからのオイル漏れもかなりの量。そして川添選手は、試乗以外でエスクードに乗ったことがない。ほぼ、ぶっつけ本番。しかし彼は、勝ち抜きの間にコーナーレイアウトにあわせてタイヤを「削っていた」。後で島監督が乗ってみると、タイヤの構造材レベルまでコーナーに特化した「歪み」が作り上げられており、一般道では時速40キロも出せない状態だったという。 |
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