総合優勝 s.Doさん
V6ノマドの意外なパイロット手法
 塩原温泉から南会津を抜けて、CPとされている山口温泉289にたどり着くまで、かなりの標高を登る。アクセル加減を抑えているから燃料系に動きはほとんど無いが、1カム4バルブでOHCのテンロクシリーズは、気圧が下がるとインジェクションに変化が起き、登坂車線を3000回転まで回しても満足に加速しない。長い急勾配には排気量の大きな方が対応できる。
 ところが、2.0V6のs.Doさんがテンロクをも下回るゆっくりペースで坂を登っていく。同じタイプながら高回転仕様に調整されたkawaさんが、これをパスしていく。s.Doさんに合わせているとこちらもトルクバンドを失うため、やむなく追い越す。おそらく向こうは1500回転程度しか回していない様子だ。
 山口温泉を出て、次のCPである道の駅柳津を目指す。約90分、何もない山間部を移動するが、雨と霧によって描き出される只見川の幻想的な景色が、移動を飽きさせない。しかしこの区間でもさらなる低速度車に阻まれ、そのあおりで工事箇所で前のグループとはぐれ、ペースを上げられない。
 それでも道の駅に到着するまでに、オーバータイムはほぼ解消できていた。なんとか昼食にありつけたが、名物の足湯につかるだけの余裕は無し。道の駅からは雨脚もいくらか強くなってきたので、撮影は取りやめスタート。磐越道に上がる。
 唯一の高速区間は、会津若松市内の混雑を回避する名目と、オーバータイムのリセットに役立つのだが、罠も待ち受けている。会津坂下付近は未だ対面通行区間であり、周囲の速度に合わせなくてはならない。さらに降りるインターチェンジが磐梯河東と指定されているため、後半はかなりの勾配と距離を登らなくてはならないのだ。
 磐越道をあとに、最期の区間となる猪苗代湖から白河への国道に入ると、一部の登り区間を経て下り主体のルート。白河市内までにはほぼ残り時間30分のペースで戻ってきた。下りでペースを上げた後続も次々と小休止しているところを追い越していく。ゴール地点へのアプローチに関しては、ナビゲーションのメーカーごとに癖があったらしく、交差点のあちこちからエスクードが現れる。そして給油結果から各自の達成率を計算(下記データ。緑はクラス優勝。赤はクラス並びに総合優勝)

【クラス1 エスクード1.6シリーズ】
NONNONさん エスクードハードトップ(4AT)
カタログ燃費達成率  1.314


とにぃさん エスクードハードトップバン(5MT)
カタログ燃費達成率  1.141

suuuさん エスクードノマド(4AT)
カタログ燃費達成率  1.170

雷蔵 エスクードコンバーチブル
カタログ燃費達成率  1.265

【クラス2 エスクード2.0〜2.5】
kawaさん エスクードV6ノマド(5MT)
カタログ燃費達成率  1.127

s.Doさん エスクードV6ノマド(4AT)
カタログ燃費 達成率  1.350 総合優勝


SIDEKICKさん エスクード3ドア(5MT)
カタログ燃費達成率  1.092

青影さん エスクード3ドア(2代目 5MT)
カタログ燃費達成率  1.254

TA01Wさん&ricoさん エスクード2.0XG(5MT)
カタログ燃費達成率  1.135

井の頭の住人さん エスクード2.4XG(4AT)
カタログ燃費達成率  1.166


【クラス3 エスクード2.7〜3.2】
コムロさん グランドエスクードFIS(4AT)
カタログ燃費達成率  1.222


ローテックさん エスクード3.2XS(5AT)
カタログ燃費達成率  1.098


【クラス6 エスクード以外のディーゼル車】
ふっじぃさんご夫妻 ランドクルーザー70
カタログ燃費達成率  1.253


 何があっても2000回転は回さない、過減速もとことん丁寧に運転するs.Doさんが、最も高い達成率を記録した。クラス1優勝のNONNONさんも、ATの変速スケジュールを見出しながら我慢の運転を続けた。クラス3優勝のコムロさんは、今回の条件に基づいて控えめの運転をすれば、グランドエスクードもリッター10km以上をキープできることを立証した。
 ふっじいさん夫妻はクラス単独出走の不戦勝だが、4.2リッターディーゼルの燃費は過去最高の14km台に乗せてきた。
 今回は実燃費の成績を考慮しなかったが、総合第4位の青影さんは、270kmを走って給油量16.31リットル。基準燃費を大幅に上回ったリッター16km台をマークしている。スタート地点を間違え、都合330kmを走ったとにぃさんも、実燃費はリッター15km台だ。
 基準となるカタログ燃費が、実燃費に対して厳しすぎたり緩すぎたりしていないかという意見が交わされた。実際、TA51WやTA52Wはシビアすぎる気がするし、グランドエスクードの場合も低すぎる印象がある。
 Fレイド自体の表彰内容は、実燃費についても考慮した方が良さそうだ。それだけ、やろうと思えば好成績をたたき出すエスクード。ここまで苦行のドライブはしないにしても、ちょっとした運転の工夫で、少しは燃費を見直せるのではないだろうか。