林道三昧の一行がまだ山小屋で起き出してもいない頃、八ヶ岳のたもとにたどり着いたエスクードが1台。エンジンを換装し、長距離試走に臨んだたBLUEらすかるを出迎えたのは、前夜の雪でうっすらと白くなった八ヶ岳林道であった。空はどんどん雲が切れていき、甲府盆地だけを霧の下に隠して快晴となっていく。朝霧高原? めんどくさいからそこまでは出不精して、茅ヶ岳あたりの林道で追いつけばいいのだという、ひやかし乱入が企てられる。
 徹夜仕事を片づけて、そのまま軽井沢と佐久まわりでやってきた北杜市には、実はプチ荒行一行との合流よりも前に、訪ねていくところがあったためだ。
 大泉と言えばアイリッシュパブのブル&ベアだ。昼の軽食に行ったら
 「昨日、5台のグループで皆さんいらっしゃいましたよー」
 と、彼等の足跡を教えてもらえた。一行、立ち寄ってくれたのである。ありがたいことだ(行けって言ったのは内緒だ)
 このパブよりも甲斐大泉の駅に近い場所に、ステンドグラスとトールペイント、雑貨や小物を扱っているHeart工房というお店がある。このお店のご主人が、それまで乗っていた日産テラノを手放し、TD11W、V6ノマドに乗り換えたというので、そのノマドを拝見に訪ねたのである。
 テラノの修理の際に借り受けたというテンロクノマドが扱いやすく、形が気に入ったと、半年間をかけて2000ccを探しておられたご主人は、にこにこしながらノマドを見せてくれた。これで愛犬サンタ(大きなウルフハウンド)と散歩に出かけ、前日は新しい家族となったコリー犬の赤ちゃんを松本まで受け取りに出かけてきた。
 「トルクは細いけれど、乗りやすくて良い車です」

 96年式というモデルをこれから乗り出すにあたって、好印象なコメントをいただけると、やっぱり嬉しい。愛犬、車談義を少々させていただきながら、お店をあとに。SIDEKICKさんと連絡を取りながら、茅ヶ岳を目指す。
 日曜日は富士急ハイランドに出かけたsugiさん親子と入れ替わり、林道ツーリングのしんがりに参加。茅ヶ岳から曲岳を回り込み、乙女高原まで日暮れを待ちながらトラバース、さらに水ヶ森の稜線へと、一行は薄暮から夜の世界へと走り続ける。
 水ヶ森の稜線を抜けて帯那山の稜線に進んだところで、SIDEKICKさんの前方をのっそりと歩く黒い物体が出現。ねぐらに帰るのか、林道をとぼとぼと歩いている若い熊に追いついてしまったのである。
 鹿やら猿やら猪やら、熊に遭遇することは、本州でも珍しいことではない。珍しくはないが、リスクもそこに存在する。元来、警戒心が強いので、熊の方で逃げては行くのだけれど、野営をしているところに乗り込んでこられると、怪我だけでは済まない場合もある。12月の上旬あたりまでが、冬ごもりに備えて活動的になっている時期だとも言われるので、今回のツーリングが野営を伴っていなかったことは、ある意味正解だったとも言えるだろう。
 熊は藪の中に逃げていった。やがて甲府盆地の夜景が見え始め、一般車の往来も増える太郎ヶ峠までたどり着く。甲府の街は、彼等が昨日、晩餐のための買い出しをしたところ。今夜は外食で休息をとり、それぞれの帰路につくこととなる。
 中央道八王子方面の渋滞概算が約40km。静岡へ帰るSIDEKICKさんは四たび139号線へ。残る面々は140号線で奥多摩へとひた走る。一泊二日(1人だけ日帰り)のプチ荒行は盛況のうちにお開きとなった。