天狗の森の大駐車場にあった物販店が改装され、コミュニティスペースとカフェが新設された。腕の良いバリスタ店主が切り盛りする、本格的なコーヒーが飲める。ということでソメイヨシノから山桜に移り変わる森へ上った。

 新設された「ATAGO FORESTHOUSE」は山桜の森の斜面に突き出た眺望の良い店舗。座席はすべて窓に面したカウンター席で、冬ならば地平線を見渡せる。すっかり暖かくなり、ヒノキの花粉もおさまってきたせいか、この日のお客は全員、テラス席で歓談していた。
 浅煎からストロングスタイルの極深煎まで、何種類かのコーヒーを出してくれる店主は、地元で手に入る豆だけでなく、秋田県や新潟県の有名コーヒー店からも素材を取り寄せている。これらは無くなり次第、また別の地方の豆を見つけ出してくるという。
 「今日から『天狗のクッキー』も始めました。もう少し設備を増やして軽食も作れるように考えていますが、喫茶店としての店内レイアウトはちょっと窮屈ですね」
 客の側ではそれほど気にならない。むしろ、コンビニの街カフェのような簡易な店を想像していただけに、つくばーど基地にこれほど近い場所で本格的なコーヒーをいただけることのに感激した。
 深煎りのツバメコーヒーをホットで、浅煎りの秋田08コーヒーをアイスでいただく。08のブレンドは何年ぶりだろう? 
 スカイロッジがグランピングサイト化され、つくばーど®のイベントが遠のいていたが、カフェ隣接のコミュニティスペースを借り受けられるので、別の方法でここでの行事が再開できるかもしれない。


 店主と歓談させていただき、時々仕事を放り出してコーヒーブレイクに来ますと席を立つ。
 すると、移動販売のキッチンカーが出ていた。
 売り出している人気商品はベーコン串だというのでこれを注文し待っている間、「夏みかんたっぷりの贅沢クリームソーダ」を見つけた。
 「これも人気ですよ。濃厚なので試してみてください」
 カフェの店主よりもさらに若い店主がにこにこしながら勧めてくれるので、追加でお願いする。季節や行楽状況を見ながら県内各地を走り回るというので、天狗の森で再び出逢えるのがいつになるかは定かでない。
 しかしこの夏みかんのクリームソーダも確かにうまい。ベーコン串はなかなかの肉厚でやわらかい。できればここには頻繁に来てほしいと思う。
 流行なのかもしれないが、ここにも青いクリームソーダがある。緑のやつにはメガサイズもある。次回ここで店を開いてくれていたら、そちらも頼んでみよう。
 森はすっかり新緑の様相になっている。帰路は舗装林道で山下りをしたが、程よく荒れてきていて、手入れされなくてもいいんだけどなあとほくそ笑んだ。