「今日は基地にいらっしゃいますか?」
 という狼駄さんからの電話を受けたとき、僕は仕事を終えて大洗町の行きつけの小料理屋で昼飯を注文したところだった。
 「セルボの足回りを調整したので、試走がてら肉を焼きにお邪魔したいなと」
 そんな申し出を断る筋道はないぞと時間を合わせてもらい、急ぎ昼飯を食ってつくばーど基地へと戻ると、10分後に彼がマスク越しでもわかるほどのにこにこ顔でやってきた。
 「常陸牛と、旬なので秋刀魚を持ってきました!」
 ううっ、大洗で秋刀魚の塩焼き定食を食ってきたことは(この場では)内緒にしておこう。


 狼駄さんの料理をふるまってもらうのは実に久しぶりだし、らいとにんぐモードとはいえ「独りつくばーど」よりはずっと楽しい。
 それこそ独り占めするのは申し訳ないので、電話のあとすぐに掲示板にはお知らせしたが、まあどなたも気付くことはなく、結局我々夫婦と彼と3人で焼肉と秋刀魚をいただく。
 「もうね、キャンプがしたくて悶々としていたんですよ。ようやく警戒宣言も解けたから、小ぢんまりとならいいだろうと・・・」
 狼駄さんもストレスがたまっていたと見える。車の話、バイクの話、仕事の話に花が咲き、すっかり日が落ちて、車高を上げたセルボの試走はここまでのオンロード往復のみとなってしまった。
 「後日、裏山の林道に持ち込みたいんで、また来ますね」
 裏山は少々荒れ気味なので、それまでに一度偵察しておこう。
 基地の表庭は、少し紅葉が始まっている。熱くもなく寒くもなく風もなく、のんびりするには良い日曜日の午後となった。