「仕事納めの日になりますが、太平洋まわりで基地にお邪魔します」
 昨年はコロナ禍で帰省を自粛していたかわねこさんから、久しぶりの連絡が入った頃、
 「ことしは焚火をやりましょうっ」
 という絶妙な狼駄さんからの提案も来た。
 「最近は『週末』じゃなくて『年末関東人』になっちまいましたが」
 SIDEKICKさんからも打診があった。
 これで年忘れの焚火の会が始動できる。


 豚汁、焼き芋、ボンレスハム、アユの塩焼き、餅焼き、焼き林檎、津久井浜のミカンに羽田空港人気のチーズケーキ、和菓子。お茶にコーヒーに炭酸飲料。アルコールは無し。
 日中の晴天が日没以降も続き、気温はどんどん下がるが、これだけの献立と直火の焚火があれば、暖と談は問題なく開ける。ただ、オミクロン株の拡散が始まっている年末。衛生管理についてはいつも以上に基本を守る。
 長く自粛を強いられていた世間では、観光や飲食、娯楽の様々な場所で「リベンジ〇〇」という言葉が流行っているが、REVENGEとは復讐の意。日本語としても和製取り込みとしても品が無いし、言葉が粗雑に使われていると感じる、2021年。何かを恨んでもろくなことにはならない。
 2年ぶりの忘年会では、「来年は以前のような行事をやりたいね」「沖縄で、Sレイドの地元版が始まるらしいよ」と、明るい話題しか出てこない。
 それはとてもありがたいことだ。
 とはいえ、みんなストレスの蓄積はある。いくらかでもそれを払しょくできれば、焚火の設営には意義があった。

 

 三日月が昇ってくる。
 丑三つ時まで続いた車談義と来年の展望はお開きとなり、やって来てくれた人々は三々五々、帰路に就く。あらためて言うと、かわねこさんの帰省先は岩手県だ。年末年始に休みの無い人もいらっしゃる。
 やれやれ、これで今年の行事はすべて完了だ。

 と思ったのもつかの間、午前4時、つくばーど基地では直列4気筒1000ccのターボエンジンに火が入った・・・