つくばーど基地と浜松市は片道だいたい250キロの距離がある。
 これを往復するということがどういうことなのかは、8年間の仙台赴任時に、片道300キロを週末ごとに往復して身をもって知っている。
 「週末関東人」と呼ばれるくらいの実績は、確かに伊達ではない。
 けれども、来るなら来るで連絡の一つもよこすのが普通、筋だろう。
 大晦日、正月の買い出しを済ませて帰宅したら「いる」というのは心臓に悪いのだ。


 そういえば、買い出しの分量がなんだか多いなあと、家内のかご持ちをやっていて感じてはいたのである。あれはつまりそういうことを予測しての買い物だったのだ。
 例によって家内は、
 「予告も無しに来る奴に食わせる年越し蕎麦も雑煮も無いって、何度言って聞かせたら理解するんだあんたはっ」
 と、怒りながら笑う。
 しかしこのシークエンスでは「年末年始関東人」と呼び変えられる彼は、恐縮そうな顔をしながらも
 「確か今日、マクロスの劇場版やってるんですよ」
 などとこれをかわす。かくして「超時空要塞マクロス 愛・覚えていますか」の放送を見ながら年越し蕎麦をすすることになる。待てよ? 焚火の忘年会にも、彼は来ていたのだ。仕事が29日までと言っていたから、あの晩はとんぼ返りで浜松へ帰って行ったわけである。
 なんだその馬鹿みたいなスタミナは。
 と思っていたら、やっぱり電池切れして炬燵で寝落ちしてしまっていた。
 もう確信犯のように、年越し決定である。

 

 開けて元旦。
 我が家は喪中なので、毎年の裏山への初詣には出られない。
 それでも雑煮は食いたいので、お節料理の簡易版とともに食卓に湯気の沸き立つ器が配膳される。餅は忘年会の際にAМGさんが持ってきてくれたものだ。
 年末年始関東人は、あろうことかこれを二杯平らげる(笑)。まあ遠慮して食わなかったらそれこそ何を言われるか分かったものじゃないから、正解ではある。
 さあ始まってしまいましたよ2022年。
 ことしはどれくらいイベントを設営できるか、幸先良い?元旦が往く手を示してくれるようだ。