「久ぶりに川俣檜枝岐林道に行きたいですね」
 という提案をSPFYOさんが持ち寄り、TA01Wさんがこれを企画して青影さんが乗った。の構図に、つくばーど®の冠をくっつけることはできないなあと逡巡し、「そういう場合は『びじてぃんぐ』としよう」などと悪乗りしてツーリングに参加した。

 前回ここを走ったのはもう五年も前になる。
 その時はコンバーチブルのエスクードを次女の霙が運転し、ロングランの林道デビューを果たしている。栃木県側の川俣檜枝岐林道自体はそれほどの距離ではないが、走りつないで馬坂峠を越え、福島県の檜枝岐に至るには40kmを走るダートだ(部分舗装も進む)
 集合時間が午前九時とのこと。出発後に日光市の旧今市市を通過するとなれば、団子の本澤屋の開店直後に立ち寄れる。
 この辺はつくばーど®オリジナル。そう言ったものも混ぜておかないと気が引けるので、ツーリングの振り出しは団子の購入に始まる。


 十月半ば、はてさて紅葉はどのくらいの出来高だろうかと、川俣湖の橋を渡って林道へと分け入る。前夜の雨で樹林はみずみずしい大気。地面は楽しい水浸し。1000m未満の山林にはまだ夏の名残が横たわるが、高度が上がるにつれ落葉樹に彩が見え始める。
 馬坂峠に辿り着くまで、陸上競技のインターバルトレーニングのようにエスクードの先頭が入れ替わり、要所要所でお互いの走行シーンを撮影し、景色を堪能し、峠を越えるまでに二時間以上遊んでいる。
 
 
 
 三連休の翌週末だろうか、紅葉見物には少し早かったか。予想していた混雑は全く無く、檜枝岐村に降りた。温泉街とは離れた集落の一角に、ログハウスのレストランがあるのを初めて知った。
 ここで昼食と歓談。
 コロナ禍に気を遣って店内ではなくテラス席に陣取ったが外気温も21℃と暑くも寒くもない。南会津で買い出しトライアルを開いたときの酷暑は何だったのかというほどの、高原の秋だ。
 一同はここから再び、林道を折り返して栃木県側に戻るという。
 車列から離脱し、一路国道経由の遠回りで日光市を目指す。
 どちらのルートを使っても、二時間コース。我が家は夕食の買い出しを必要としていたので、夫婦あれこれ案を出し合いながら、駅弁を買い求めることにする。

 

 しかしだ。午後二時過ぎに檜枝岐を出発して、四時過ぎに日光市着って、そんな時間帯に駅弁なんか残っているのか?
 当初は東武日光駅で徳川埋蔵金弁当(の、廉価版)をねらったが、ナビゲーションの到着予定時刻が五時となった。これはいくらなんでも間に合わん。
 そこで急遽、鬼怒川温泉駅に目的地を再設定し、家内が買えそうな駅弁をネット検索する。駅構内の売店で何種類かが販売されているようなので、飛び込んでみると、有名どころの銘柄はすでに売り切れ。栃木和牛の牛めし弁当が、かろうじて家族人数分(要するに三個)残っていた。
 これを購入していたら、ホームから汽笛の音が響く。この路線で走っているSL「大樹」最終便の発車時刻だった。
 旧今市市までの道々、国道の近くを走る大樹の煙で、我々と併走していることが分かった。
 今回の反省点。朝、団子を買ったその足で駅弁も確保しに行くべきだった。
 もっともそれをやっていたら、集合時刻に遅刻していた可能性もあるのだが。