《つくばーど in 石岡〜長岡》

石 岡 編

 名古屋・茨城約550km。茨城・新潟約450km。
 これで片道。
 「来る?」「行きます」「じゃ、待ってる」「それならお出迎えしましょうっ」
 台風22号が今まさに静岡県に最接近しようというとき、こんな脳天気な対話が茨城、名古屋、新潟、東京で交わされていた。
 彼等が天気情報を見なかったり、天気図が読めなかったわけではない。22号の猛威は太平洋側各地で大きな被害を出していたが、その進路予想を見ていると、どうも陸前浜街道のうちの水戸街道方面には、暴風圏すらかすりもしないだろうという確信があったのだ。
 9日の夜には太平洋に抜けてるね。こんな形で、今回の主役、立花鎮保ことPter氏は往路約1000kmの出たとこ勝負なツーリングを走り始めたのである。
 出たとこ勝負。いいねっ! もうこちらも行き当たりばったりにお出迎えだ。


 10月10日朝、Pter氏は偶然にも、常磐道・谷田部東PAで、出迎え担当のカイさんと「ばったり出くわし」を遂げた。
 東京を越えて利根川を渡ってくる場合、普通は守谷SAで休憩をとるから、その一つ先の谷田部東に立ち寄ることは、あまり考えられない。
 「はー、ヤタベかあ」
 日本自動車研究所の印象で立ち寄ったPter氏が、このとき守谷SAで休憩していたカイさんの存在を知るよしもなく、カイさんもまた、
 「なんとなーく寄っていこうと思って、谷田部東にも入ったんですよ」
 という落ち合いとなったらしい。
 同時刻、浜松市からはSIDEKICK氏が、期待を裏切らず走り出していた。彼は不在であっても「今回は来てくれるんですかね?」と話題になる。連絡していなくても、その期待にちゃんと応えてくれる。
 ところで、Pter・カイ組は、時間をもてあまして、嵐田とすれ違いで天狗の森までひとっ走りしていたという。
 どういうわけか、つくばーど基地に初めて来る面々には、基地を素通りして天狗の森に一時避難する傾向があり、定着してしまったようだ。
 待ち合わせは石岡市。石岡に拘った理由は、Pter氏の目的地が長岡市であったためだ。後にこのツーリングを「Twinpeaks耐久レイド」と、呼ぶことになるかどうかは定かではない。


 devilockさん、コムロさんも駆けつけてくれ、真打ちのSIDEKICK氏が到着するのを待って、一行は再び天狗の森に舞い戻る。路面は台風のなごりで流水があるものの、雨に祟られることはなかった。しかし前回のつくばーどを反芻するような雲行き。
 「なんだかおんなじことになりそうですねー」
 「大丈夫。基地に戻るまでは、今日は保つ」
 今までは、シン大尉とだいすけさん、トクさんしか行ったことの無かった、裏山のさらに裏山の「例の林道」を、さわりだけ走りに行く。
 台風の猛威で、倒木と路肩損壊が激しかった。
 うっそうとした森の中の林道は、轍を水が流れ、適度に荒れ始めていた。損壊して崩落していた路肩はもう路盤材を持って行かれており、あとひと雨来たら、道路そのものが寸断されそうだった。
 一同に途中待機してもらって先を下見に行くと、倒木によって道がふさがれていた。目的地までの走破は断念。晩飯を食いに引き返す。
 長岡市でPter氏を待ち受けるあっきいさんからの電話を受けて、Pter氏の明日の予定の打ち合わせをする。
 基地でのビバークを経て、Pter氏は一路、50号線を西へ向かった。予定通り、あっきいさん、looplineさんとの合流は果たせたようである。
 長岡では何が待ち受けていたのか、基地では続報到着を待機中だ。