沖縄在住のエスクード乗り、マミポコさんが出張上京してきた。
 そういうことなら、普通だったらオサレな場所にエスコートするものなのだが、ねえ、つくばーど®でそんなの期待できるわけがない・・・

 新橋駅の烏森側ガード下とか、ゆりかもめ駅周辺の階段とかで、1968年の世界からダークゾーンを通って2023年に移送されてしまったモロボシダンとアンヌがさまよっているらしい。
 モロボシダンは神戸あたりの埠頭で、55年前に助けた薩摩次郎とも再会しているようだ。
 ウルトラセブン55周年(1967~1968)という新作ドラマの一環だが、そんな年回りの新橋地下にある怪獣酒場では、13年の時空を時間通りに過ごしてきたマミポコさんとはまたに夫妻の再会が果たされていた。
 13年前、インターネット上でマミポコさんと知り合ったのがはまたに夫妻。それがきっかけでエスクード仲間のアウトドアイベントにご案内した。
 その後は仙台や盛岡など東北にてマミポコさんと何度か廃墟探訪や牛タンの陣を囲んでいたが、それももう5年も前になる。
 実は夏場に彼女の出張が浮上していたが、このときは直前で出張自体が取り消されてしまい、今回は雪辱戦。それならばと、はまたにさんを誘ったところ、夫人・じゅんきちさんも公休日だということがわかり、こんな機会を逃すことは出来ぬと夜会を設営した。
 

 場所はこんなところだが、それぞれ何年ぶりかの対話はエスクードの話なのである。
 「これを見せたくて持ってきたんですよー」
 マミポコさんはなぜか栄養ドリンクのボトルを取り出す。こちら側には〇グロモントのラベルが見えているのだ。しかしはまたにさんの側には別のシールが貼られていた。
 「なにこれ、BMWのカラーコード?」
 「その通りです。あたしのエスクードを再塗装した塗料サンプルです。写真を撮ってもパソコンの画面では忠実に再現できないんですよー」
 蓋を開けてみると、ボトルの中はほぼ真っ黒だったが、蓋の裏側には確かにメタリックの青緑色、ロングビーチブルーの色味が付着していた。なるほど「お嬢」(マミポコさんのエスクードのこと)はこんな色合いになったのか。
 そこから先はそれぞれの「エスクードあるある」なトラブルシューティングやツーリング話、来年以降の行事の提案に花が咲く。


 怪獣酒場の名物料理が運ばれてくる。
 マミポコさんにはかなりハードルの高い専門外なウルトラ世界だったが、面白がってもらえ怒られずには済んだ。
 ここでじゅんきちさんがこの晩一番の感嘆符のつく逸話を呼び込んだ。
 「そのダダ柄のシャツは店員さんの制服なんですか?」
 店員さん応えて曰く
 「いいえ、これは私たちの皮膚です」
 この店は入店時にジャミラの口に手を入れさせられる。入店しようとする人間がウルトラ族の因子を持っていたり、地球防衛軍関係者だとわかるとジャミラが噛みついてくるという。
 あのジャミラをそんな風に扱うとはひどい商売だと思っていたのだが、この店員の答えは大いに好感度をもたらした。

 
 
 「今日はどこに車を置いてきたんですか?」
 「いつも地下3階130番ブースに停めているよ」
 「観に行きますか!」
 夜会のお開きの後、汐留まで腹ごなしに歩く。
 「雷蔵さんがはまたに夫妻も呼んでくれてとても楽しかった」
 喜んでいただけたついでに、室内に関しては「お嬢」と同じBLUEらすかるでマミポコさんを宿泊地までお送りする。夜景撮影の時間を捻出できなかったので、次の機会を画策しようと対話しながら送り届ける。
 冬の始まった夜空には十六夜の月が昇っていた。