2023年はスズキエスクード誕生35周年の年回りだが、西暦末尾3年のときにエスクードを購入したユーザーにとっては、最大で30年目という記念すべき機会でもある。
 もうそのようなユーザーさんはいなくなってしまったかもと思っていたら、実に身近に、ノマド乗りのぴるりさんと、ハードトップ所有のクロさんのエスクードが、それぞれ93年式だった。
 こんな貴重なサンプルはそうそう出てくるものではないと、お二人の都合を合わせていただき、取材を実現させた。
 あれ? そんなんでつくばーどの行事にしちゃっていいのか?
 と、一応謙遜しておこう。


 この取材記事は、9月に発刊されるスーパースージー139号に掲載するものなので、ぴるりさんとクロさんのエスクード歴や所有熱について、ここで書くことはできない。
 それでも、一次ユーザーとして30年を乗り続けているという履歴だけで、お二方のエスクードへの思い入れは充分伝わるだろう。この日は出席できなかったが、和邇さんが現在乗っているサイドキック2号車も、モデルイヤーとしては93年式。そして和邇さんとの交流は長いが、ぴるりさんもクロさんも、5年前の30周年記念行事の際に初めて参加してくれた。
 それはこのような活動を続けている側にとっては、奇跡の巡り合わせだ。
 代替わりを繰り返しているエスクード35年の年月の中で、希少で貴重となった初代のユーザーさんと知り合うことができて、話を伺えるのはまたとない機会なのである。

   
 
 撮影と取材場所を提供してくださったのは、笠間市の谷津田の奥に店を構えるカフェレストラン「どんぐり11」のオーナー。諦めたらたどりつけないあぜ道を経て、開店前に撮影を済ませる。
 この店は焼き鳥重がとにかく美味い。
 「うちのは97年式なので対象外だけど、幌車のためにショックアブソーバを持ってきたよ」
 青影さんが急遽加わってエスクード談義が盛り上がる。
 ただ、彼のTD61Wはこの日が見納めとなるそうだ。それは残念。初代ユーザーはどなたも、そろそろなのかなあと葛藤している。
 各地で大雨を降らせることしの梅雨も、中休みのようになりを潜めた日曜日は、流れ解散まで陽射しを注ぐ穏やかな陽気となった。