杉野沢のペンション、空飛ブウサギは、10年近く通っていながら、すべての居室を攻略しきれていない。おそらく、まだまだ知らない部屋があるのだが、さすがにそろそろ迷子になる参加者も少なくなってきた。
それでも「風呂が熱かったねぇ」「えっ、ぬるめだったですよ」と、意見を聴くほど別々の風呂場につかったとしか思えない対話が飛び出す。秘密を明かせば大浴場が二つあるのだが、ちょっとルートを間違えると、ふたつ目の風呂場にはたどり着けない。
そればかりか、みっつ目の家族ぶろとはまた別に、檜張りの小さな風呂があることは、意外と知られていない。
一夜明けて、杉野沢をあとに笹ヶ峰の高原地帯に向けて出発する。今年は開催を遅らせたことが功を奏して、妙高小谷線の林道を長野県小谷村まですべて走ることが可能になっている。2005年秋の開催以来、崩落や土砂崩れによって、毎年途中までで断念せざるを得なかったのである。
「林道笹ヶ峰・小谷線」のうち、妙高小谷林道は長野県側の呼び名で、新潟県側は杉野沢林道と呼ぶ。最近は県道名で呼ばれることもあるらしいが、標高1500mの乙見山トンネルを越えて、新潟から長野へと横断していく。
もっとも、崩落などがなければ、普通の自動車でも走れるダートのルートで、クロカン的な走らせ方をするなら、途中の・・・については特に触れない。そしてダートのほとんどは新潟側に残されるのみで、長野側はほぼ舗装化されている。
笹ヶ峰からのスタートは、3分おき1台ずつのタイムラグで行う。10台を越えているため、途中で対向車とのすれ違いや前走車、後続車の連なる渋滞を起こさないためだ。最高でも3台までの半編成を行うことにしているが、今回はそれぞれがのんびり走れるよう、単独でスタートする。
3分というラグは、その間に撮影ポイントを移動する猶予を作ってもらうためでもある。今回は全車、異なる地点で撮影したが、実際に見るとあまり変わり映えのしない写真になっていた。
トンネルを越えると、この冬崩落していた現場が待ち受けていた。突貫で修復したものの、さらに夏前の大雨で崩れたそうだが、以前よりも広めの道が開通している。それでも小さな礫が落石してくる。
最終合流地点の雨飾荘も、建物が移転していたようだ。潤沢に車を止めて置ける場所がなくなり、この場で流れ解散。いささかあっさりしすぎだったかもしれないが、また来年、その二倍くらい楽しめるような企画を立ち上げたい。 |
|