「ちょっと小田原まで行きたいんだけど」
 という霰の≪蒲鉾が食べたいんだよあたしゃっ≫な要請によって、道案内で助手席に乗り込んだはいいのだが、なんか以前もそんなことがあったよと尋ね返せば≪仙台の笹かまはずいぶん買ってきてもらったけど、蒲鉾ったら小田原でしょ≫な、極めて単純明快なリクエスト。
 でも首都高突っ切るのは怖いからいやだし、渋滞に巻き込まれるのもいやだと。
 ええっ、圏央道回り込みですかい。それだってもたもたしてたら厚木から海老名にかけて混雑しちゃうぞ・・・


 夜が明ける前に出発して筑波研究学園都市を横切り、圏央道の途中から高速に上がる。
 常磐道から全線高速なんて、距離分の料金高くてやってらんないぞ。と父は言ったのだが、信号で停められるのもいちいち面倒だと果敢に最寄りのインターへ向かう霰。
 高給取りはいいなあ。
 その辺はすっとばして厚木PAで朝食をとり、いったん東名に乗り換えながらそのまま厚木で小田原厚木道路に移るが、どうしたことかヤマタノオジロ(霰のスズキハスラー)に搭載されているナビゲーションは「さっさと降りろ」とばかりに次々と出てくるインターでの下車案内をしてくる。
 うるせーよ、小田原西までそのまま走り切るんだよ!
 などと父はぼやくのだが、初小田原厚木道路の霰にはなんのことかわかっていない。

 
 どうせ小田原まで出かけるなら、このエリアでCレイドを設営してしまおうと、目的の店というより小田原市街地そのものを通過する算段で、ターンパイクの入り口方面へ走る。
 けれどもターンパイクも素通りして相模湾沿いに出る。こうして時間調整しないと蒲鉾の店が開店しないのである。それくらい早い時間帯に小田原入りしている。
 厚木の朝食は正解で、国道沿いのメンチカツの店も開いていない。それは下調べて分かっていたので、さっさと山側へ分け入る。
 「ここここ、こんな坂道でクルマは転げないのーっ?」
 「これくらいの斜度で転げるわけないだろうっ、仮にも四駆だぞ!」
 まあ珍道中である。いくつかのCレイド課題を設営して市内へ戻ると、老舗の蒲鉾の店「籠清」はちょうど店を開いたところだった。
 諸説ある中、小田原の蒲鉾の発祥は、初代城主となった大久保忠信の時代とも、それより百年昔の北条早雲の頃とも伝えられており、老舗の数も少なくない。籠清が元祖の店と唱える人もいれば、すぐ近所に発祥の店を掲げる別の業者もいる。


 既に作られた蒲鉾や練り物だけでなく、その場で注文して練り物を焼いてもらいかじりつくこともできるのは、籠清本店前に同店の駐車場があるからという利点。今回はそれでこの店を目指した。
 しかし残念なことに、ここから歩いていける場所にあるジェラートの店はまだ営業していない。ならば早川漁港の一角にあるかき氷屋にと東海道を西へ戻れば開店一時間前から長蛇の行列。
 蒲鉾以外の食べ歩きは、滞在時間帯があまりにも早すぎて断念となった。
 帰路は東海道(国道1号)をしばらく走ってみたいと言う霰の提案で、助手席でうたたねしていたら茅ヶ崎まで移動していた。
 これで再び圏央道経由で明るいうちに帰宅。
 つくづく時間の使い方がへたくそな親子である。