岩手県奥州市は、大陸と呼ばれる東北の最も南北に長い岩手の中でもまだ県南部。大陸の半分にも到達していない序の口ですが、それでも都心から500kmを移動する必要があり、たいていの人は「遠いよ」と二の足を踏む。
「でもさー、行けるぞと思ったときに行かないと、この先チャンスがあるかどうかもわからないよ」(ローテックさん)
こう言ってもらえたら、各地で開かれているお祭りや花火やトライアルに負けていられません。高原を往くつくばーどの夏は、好い天気に恵まれ涼しくなくてはならないし、アスファルトをいやというほど走ってきたエスクードの苦労に見合った、快適なダート(逆だろうっ)を案内して、お通し程度にはうまいものを用意しなくてはならない。
この贅沢すぎるリクエストに、奥州から遠野にかけての高原は、びしっと応えてくれる確信があって、今回のステージに取り上げました。
猛暑であることには変わらない水沢の街には、例によって集合時間を大幅に前倒しして参加者がやってきます。街の東南部にある阿原山高原を目指し、山へ分け入ります。広大でのどかな牧場地帯の、外周を走る林道は、前半が藪また藪。後半は森の中のダートへ変化します。二つの牧場を経由して北東へ走ると、やがて宿泊地である種山高原にたどり着き、荷物を下ろして再び種山高原を周回するように、林道を走りつなぐのです。
種山側の林道は、すでに遠野市にもまたがっており、翌日はこのルートの半分を使って遠野の高原へと移動するのですが、初日は途中から西へと進路を戻して種山へ戻る別の大規模林道へと、時計と逆回りのコースを取ります。
いつもの山岳林道とは異なり、管理の行き届いた道に感謝しつつ、そのアップダウンと特徴的なストレートの長さに、いかにも三代目エスクードは楽しいだろうねえと、要所要所でカメラを構えて待ち受けると、参加者はみな、普段奨励している林道走行速度でやってくる。これは感心でもあり、ありがたく思います。
宿泊地の「星座の森」では、SIDEKICKさんとTA01Wさん&ricoさんが炊事場せましと大活躍。前沢牛対アリスポーク、各種燻製、もつ焼きが次々と出来上がります。来年はテン泊にしようという声も上がりましたが、テント泊なら二泊はしないと面白くない(すぐに撤収するのがめんどくさいだけだけど)
宴会の途中、秋田からNAOさんも駆けつけてくれて、退役させるエスクードからはずしたパーツを、希望者のために届けてくれました。ここで、雷蔵自身もすっかり忘れていた「先代らすかるから外されたヘッドライトベゼル」を9年ぶりに見ることに。このベゼルこそが、先代がらすかると命名されるきっかけになったパーツそのものでした。
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