百周年の街へ!
遠野物語の時代は遠く
 2日め。パジェケンさんの合流を待って、種山高原をあとにします。予定では遠野側郊外の里に下りたあと、峠を越えて一気に遠野市街地へ向かうつもりでしたが、山里を抜けて峠のふもとにたどり着いたら「11月まで通行止めして工事中」の無慈悲な看板が。しかも「○○までは行けますが綾織へは抜けられません」っておい、そこまで行けたらあと数百メートルじゃないかっ、と地団駄を踏みながらも敗退して国道で迂回。遠野へと移動します。
 遠野市は、柳田国男が佐々木喜善の口伝民話を書物にまとめた「遠野物語」の編纂からことしで百周年というブームに沸き立っています。が、そんなことを言うと地元に人に叱られますが、行ってびっくり見てがっかりの近代化と、遠野物語の世界観には似せようとしても似つかわしくないゲゲゲの人のマスコットキャラクターの氾濫で、「こんなん、俺の知ってる遠野じゃねーぞ!」(いつの話をしているんだ)
 カーナビに載っていながら「走ったこともない国道バイパス」で目標をロストするし、20年前にそんな郷土料理あったか?という献立に戸惑うしと、だんだんつくばーどっぽいどたばたになっていきます。
 こんな調子で林道の入り口を間違えたらどうしようと、あまりにも風景の変わってしまった周辺にびくびくしながら、渓流沿いの林道にいたる集落へと、古い国道を北上します。この国道だって、昔は隣の村まで山越え30何キロ全線ダートだったのに・・・
 川沿いの小さな橋は架け替えられていたような気がしますが、集落には変化はなく、2日めのメインに据えていた林道には迷わず到着。ここは分岐に注意しなくてはならないポイントがいくつかあるので、参加者には地図を配布してありますが、撮影ポイントも一箇所しかないので普段の1台ずつ走行はせずに、団体で走り出します。もしも対向車がやってきたりすると、難儀なことになる幅員。ただこの林道のセオリーは、四駆もバイクもほぼこちら側から上っていくものなので、たぶん・・・大丈夫。
 驚いたことに、ナビゲーションを見ていると、ルート上に「ループ」が描かれています。いやその、この林道に、珍しいループがあることは知っているのだけれど、こんな管理林道の細道をもフォローしているナビ地図に驚いたのです。しかしGPSの軌跡はもうめちゃくちゃ。
 さらに愕然としたのは稜線に見え隠れしてきた風力発電の巨大なプラント。もはや物の怪と怪異と民俗学の遠野は、遠い時代のかなたに追いやられてしまったかのようです。こんな文句をつぶやいたものだから、山の神は怒ったらしく、高原の山頂までやって来たら霧が巻いてきて、本来なら眺望可能なはずの釜石の海は隠されてしまいました。
 ここで午後4時少し前。帰路の道のりを考え、流れ解散。下りは舗装道路を行けば迷いません。各位を見送り、走り出したら完全においていかれてしまったので、ひとりのんびりと、キャンセルになった最後の林道を走りつないで市街地へと戻るのでした。遠野は、次回の東北編でもう少し走りこみたいと密かに考えております。