「幌車を持っています。どうも私の実家は、つくばーど基地の近所らしいです」

 びっくりするような連絡が、北海道から入ってきた。
 Uさんは掲示板に彗星のごとく現れ、つくばーどサイトを見つけてコンタクトしてきてくれたのだが、断片的な情報をつなぎ合わせると、単身赴任で北海道に居住しているが、もともと隣町の人であるらしい。
 しかしTA01Rの改造車はまだ実家に保管されていて、現在所有しているジムニーを手放し、このエスクードに乗るために、連休を利用して回収に来るという。この機を逃せまいと、再びらいとにんぐな八郷編を設営することとなった。

 折しもこの日、エスクードの幌車については様々な事象が重なっていた(重ねたんですけどね)
 現在は3代目94Wに乗るシン大尉に、E−Act黎明期のエピソードを取材するため、彼の94WとぷらすBLUEの2台で、早朝から筑波三山の稜線縦断をやっていた。01R、11Wを経て94Wでは初めての林道探検というシン大尉に、独立懸架の四駆のインプレと、幌車の頃との比較などを聞いていた。
 林道は霧にまかれ、稜線に近づくごとに雨雲の中に入っていく、シン大尉だからか?、おあつらえ向きの雨と荒れた路盤、倒木障害の連続。古株同士でテンロクと2.7という変則コンビの山越えは、八郷側へ下るにつれ、雨から晴天へと変化していく。
 まさに幌車日和。雨上がり直後はまだ、山の杉花粉の飛散もない。八郷の茶房ぶれっどには、早くもSIDEKICKさんが一番乗りしていた。すぐさま、TA01Wさんも到着する。

 「どうも、先週(買い出しトライアル)はおせわさまでした・・・って、あれって先週じゃなくて今週なんですよね」
 「明後日もシン大尉のところでタイヤ引き渡しの行事があるけれど、ひやかしに来ますか?」

 もう一人の古株、はまたにさんご夫妻も、エンジン修理のシェイクダウンをかねて、昨年の八郷に引き続きやってくる。正月早々の入庫。2ヶ月の修理期間を経て久々の遠出を、今回のイベントにつき合ってくれた。
 そしてUさん。単身赴任の間、息子さんに幌車を預けていたが、息子さんが知らないうちに改造を重ねてローダウン、ワイド化を施してしまう、意外と茶目っ気たっぷりの人物。

 「カリフォルニア仕様がテーマです。ただ他のエスクードを知らなかったから、いままでなぜパーツの整合性がないのか解らないことが多かった。今日はとても参考になりました」
 「まったくですねー。いい歳してスイッチが入ると止まらないんですよ」
 「す、すまん。俺はキミの親父さんと同い年・・・」

 などという対話があったかどうかというと、ほんとにあった(いいじゃんか不良親父でもっ)。親子二代でエスクードに乗っていた友人はこれまでにもいたが、親世代がはまっているというのは初めてだ。応援に駆けつけてくれたsugiさんのところにも息子さんがいるけれど、将来、こんな風景を見られるようになるのかもしれない。

 「さすがに北海道でフルシーズン、この仕様で乗るのは難しいでしょう。これからまた、現地仕様にこつこつといじっていきますよ」

 Uさんは、はまたにさんから幌脱着のコツについてレクチャーを受け、オープンにする。
 「よし! このまま帰るか」
 「待てまて親父、外した幌、1人で元に戻せるのか?」
 「うーん・・・じゃあもう一回教わっていこう」

 連休初日、天候は完全に回復。幌車日和の空が広がっていた。