林道枝線を巡る


 枝線は土の道であったりガレ場であったり、漬け物石くらいの石を敷き詰めたゴロ道であったり、入った場所によって状況が一変する。
 くまなく走り回るのにはオフロードバイクの方が適している。
 カイさんはタイヤこそオールテレーンにしてあるが(らすかるもオールテレーンなので人のことは言えないが、オールテレーンは所詮オールテレーンなのだ)、クルマはほとんどノーマルのエスクードで、この山を走っている。
 「よくそのクルマで入り込むなあ」
 というようなルートに、参加者を引きずり込んでいく。カイさん自身は、2代目エスクードの大きさや、足の伸び、挙動をよくとらえている。
 すると本人曰く、
「いやー、どうなるかと思いました。抜けられるのは知ってたんですけど、上り側では初めて入ったんです。そのうえ前より荒れているんだもん」
 おいおい(笑)

 現行型エスクードの走る様を後方から観察したが、本格的なクロスカントリーは別格として、この手の荒れた林道程度のステージでは、2代目もグランドも、そんなに捨てたモノではない。
 下回りのクリアランスの獲得にはそれなりの工夫が必要だが、乗用車風に仕上がっているといっても、しっかりとエスクードの走りを踏襲しているように思えた。
 2代目ユーザーは、想像していたよりもずっと楽しめるんだなと感じた。

  韮崎から入って明野村に降りてきた一行は、須玉インター近くのガストで夕食をとり、流れ解散した。
 僕は国道141号を野辺山方面に走り出す。
 高速道路上では、33万kmを刻んだときに撮影できないということと、らすかるのエンジンの熱対策を考えて、気温の低い高地から帰ろうと考えていた。
 清里、野辺山、佐久、軽井沢と、信州の縁を走り続ければ、夕方から夜にかけては外気温18℃程度だ。須玉インターから中央道を駆け下って都内を経由するより距離は長いが、熱ダレしない快適な帰り道なのだ。

 野辺山を通過し、オドメータは刻々とその数字に近づく。日はとっぷりと暮れて、クルマの写真はダメだなと思った。
 佐久にたどり着く前に33万kmを超えると覚悟を決めていたが、下4桁がゼロとなったところへ、JR小小海駅のとんがり屋根が視界に入ってきた。ぎりぎりのところで駅前に回り込み、なんとか「それとわかる程度」の写真を撮ることができた。
 ツーリングは楽しい。次回はどんな景色と道と、どんなエスクードに出逢えるだろうか・・・