週半ばの天気情報を見る限りでは、岩手県の天候は思わしくないはずであった。
 事実、盛岡市を見下ろす高台からは岩手山は望めず、内陸はいつ雨が降ってもおかしくない雲行きだった。
 ところが、本人も「あたし晴れ女だから」と断言するマミポコさんの往く手はどんどん青空となり、気温は上がれど湿度は低いという大変理想的梅雨明けモードとなるのだ。
 そのためか、彼女のホームタウンである沖縄県には台風7号が直撃コースというエントロピーの法則もついてきたのだが・・・
 こんな状況から、午前6時に盛岡を出発し、早坂高原を越えて岩泉から宮古へと横移動しつつ、国道と林道を走りつないで彼女の撮影助手を引き受けた。
 何を撮影するのかって、彼女は花も虫も獣も構造物もメカものも守備範囲。どこで何が被写体になるかは出たとこ勝負で、山へも分け入るし復興工事の現場近くにも立ち寄る。
 こうして横移動の次は三陸沿岸を南下していくのである。
 しかし予定が少しずつ早回しとなって、当初考えていた宮古の港で海鮮という昼飯時間よりも大幅に前倒しで到着してしまう。
 つまり目当ての店舗が開店していない。朝飯は移動しなが前日調達したら福田パンのコッペパンをかじって来たから、まだ先へ行けるということになり、釜石の山間部までを午前中にクリアしてしまった。
 そうなると、この先食事ポイントが思いつかないので、おもむろに仙人峠の旧道で遠野へ登り、ナイスガイ二人が切り盛りするコヨミーナで、やっつけ仕事だった朝飯を挽回する。

 「今日はSL銀河ですか?」
 「いやいや、路傍のへんなもの撮影」
 「変なものとは失礼なーっ」

 という対話のあと、再び大船渡へ戻って陸前高田へ。この間、山間部のトンネル内で夢の18℃を体験し、30℃と報じられている下界へ降りるのがちょっといやになる(笑)
 三陸沿岸道の開通区間が少しずつ拡大しており、これだけ寄り道しながらも、気仙沼から南三陸経由で、午後6時に仙台市内へ戻れた。
 ざっと500キロ。マミポコさんに言わせると、沖縄本島を1周して+100キロだそうだ。