かつてTA11WとTD11Wが登場したとき、SUZUKIの4WDでV型6気筒という驚くべき趣向に、そして他社が3000ccクラスのV6で攻勢をかける中、2000ccの枠内でこれをやってのけたことに目を見張った。ついでに言えば、1600ccのエスクードでOHC8バルブのTA01Wから乗り換えた印象は、外観に多少の変化があったものの室内寸法など1mmも変わらなかっただけに、同じクルマであって同じクルマじゃないというほどの進化を体感できた。1型のエスクードは、ネットで計算すれば、せいぜい70馬力程度であっただろう(グロス表記で82馬力)。V6−2000は、ネットで140馬力のDOHC24バルブであるから、中身は別物と言ってもいい。
もっとも、このH20A型はプロトタイプ的な要素を多分に有していて、メーカーをして「完成形ではない」と言わしめた。後に吸排気形の改良が行われ、次に2500ccへのボアアップを果たし、グランドエスクードに2700ccを投入して、3代目へと引き継がれた。細かく言えば、TD94Wのエンジンは、第5世代のV6となる。
なぜTA11WとTD11Wから書き始めたか。
当時、初めて乗り出したV6への驚きを、再び体感したからだ。
H20Aは、どちらかと言えば重くがさつなエンジンだった。42万キロも走らせてしまうと、話にならないので比較のしようもないが、今回のH27Aは、静粛性(これはボディ側の遮音も貢献している)のレベルも含め、よく成熟したものとなっている。ヘッドカバーは・・・なんだかいかにも縦置きエンジンをアピールしたいというケレンを感じてしまう。ここも遮音・遮熱対策なのか?
XG(AT)は、3速とパワーモードを駆使することで、キックダウンをある程度押さえつつ、巡航速度以上の速度域へ駆け上がることが出来る。初期のインプレッションで辛口の評価をしてしまったが、ATのモードセレクタをDで固定しないことと、パワーモードによるギア比の変更が、XGを機敏にさせることをここで追記しておく。
その上で比較すると、XSの5速ATは、V6特有の粘りけのある立ち上がりを見せる。これはV6エスクードに長く乗っていると感じられる、なじみの加速感だ。1.6tクラスというボディの重さ、フルタイム四駆となっての“背中から押し出される感覚の希薄感”を、それほど気にせずに乗り回せる。2速ホールドがないという部分は気になるところだが、Dレンジから3速ホールドでのエンジンブレーキには、XG以上の手応えはあった(ESPが関わっているからか?)
ただし、パワーモードで走ると、間違いなくガス喰いとなるだろう。が、この手のクルマで燃費のことを気にするのは、やはり無粋だと思う。それに、このクルマで超高速域のドライビングというのは、むしろ現実離れしてくる。「実用域+αと、もう一声」。それは約束されている。
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