《栄冠という名の汎用機》

 サイバーシステム・アスラーダは、他チームが搭載するシステムとは比較できないほどの高性能さを有していたが、厳重なセキュリティプログラム(ガードシステム)によって、ただ一人のドライバーしか登録することができない。2017年イギリスGPで風見ハヤトが重傷を負ったことをきっかけに彼が引退、スーパーアスラーダも封印された。
 新チーム「スゴウグランプリ」が発足した2018年、監督に菅生修が就任。後進のドライバーアンリ・クレイトーの専用マシンとしてSF−01ガーランドを完成させた。ガーランドの基本設計は、可変システムを排除し、大幅な軽量化を図った。ブーストポッドも内蔵型に変更。リアウィングの位置を下げ、低重心化が図られている。サイバーシステムは標準的な仕様が組み込まれており、誰にでも扱える汎用マシンであった。
 アンリは4戦目で初優勝、シーズン中3勝を挙げ、年間ポイントにおいて総合優勝を果たす。風見ハヤトは第5戦からレースに復帰し、AKF−11でセカンドチーム「スゴウウィナーズ」に所属した。
 この頃、他チームのニューマシン攻勢も激化しており、2019年シーズンでマイナーチェンジしたSF−02は、開幕戦で2位を獲得するに留まる。ガーランドは新型シャシー、エンジンを導入したSF−03となり、ブーストが展開型に変更され、エアインテークを小型化、スタビライザーを後方へ移した。リアウィングは内側へ湾曲させ、先端を前方へ突き出すことで清流効果を向上させている。ハヤトもスペインGPまでSF−03を使用したが、サイバーシステムとドライバーのコンビネーションという、サイバーマシンの神髄に目覚め、ν−アスラーダAKF−0に乗り換えた。