《スーパーアスラーダの系譜》

 スーパーアスラーダは、2016年シリーズからバージョンアップ型のSA-01/C(写真上段)が登場したが、他チームのニューマシン攻勢に追随できず、第5戦イギリスGPまでの戦歴で現役を退いた。
 第6戦タンザニアGPでベールを脱いだのがAKF−11(ダブルワン)。翌2017年第5戦イギリスGPまでをチーム・スゴウアスラーダが、2018年第5戦フランスGPから2019年第12戦オーストラリアGPまでをチーム/スゴウウィナーズが使用した、息の長いマシン(写真下段)として有名。
 スゴウアスラーダ時代には、デビューウィンを含む2勝を獲得し、チャンピオンマシンに輝いた。チーフデイナーは、風見広之の下でアスラーダの開発に携わったクレア・フォートラン。彼女のサイバーフォーミュラデビュー作でもある。
 SA−01シリーズとの相違点は、サイバーフォーミュラのレギュレーション変更で、ラリーモードが廃止されたことだ。複雑な変形システムを省略でき、制御系への負荷が軽減された。大きく変わった部分はリア周りで、ブーストポッドが両サイドへ移され、同時にカウル形状を変えてエアロダイナミクスの向上と低重心化を進めた。2017年シーズンは開幕4連勝のあと、イギリスGPで大破。ドライバーの風見ハヤトも重傷を負い、一時的に戦列を離れた。最終戦では6輪駆動システムとの交換条件で、ライバルチーム・ユニオンからエンジンの供給を受け、優勝を遂げる。



 11は2019年シーズンで現役を退き、2020年第6戦ドイツGPから、ν−アスラーダAKF−0(ゼロ)が登場、2021年第12戦日本GPまでを戦うこととなる。ゼロのロールアウトが遅れた間、風見ハヤトは別の開発過程を経ているSF−03ガーランドで出場していたが、この年アオイフォーミュラから参戦したアルザードには全く太刀打ちできずにいる。
 ゼロの外観は、リアタイヤ付近のカウル形状以外はAKF−11とほぼ共通の流れを汲む。新素材としてアルザードと同じレアメタルを使用し、車体の軽量化と変形行程の効率化、エアロダイナミクスの大幅向上を果たしたほか、ブースト圧を一定時間溜めてフラッシュオーバーさせる新システム・スパイラルブーストを搭載。風見自身も、エフェクトファンを活用して空中で方向転換・オーバーテイクするリフティングターンをマスター、2年連続チャンピオンに輝いた。
 このリフティングターンは、アスラーダが制御手順を「間違えた」ことに起因し、これを回避した風見ハヤトのインスピレーションによる偶然の産物だった。
 ゼロは2022年、スゴウとGIOのチーム提携によって、GIO製エンジンに積み替えられ、AKF−0/Gへとスペックを上げる。しかしこのエンジンは欠陥を抱えトラブルが続き、中盤戦で4連続リタイアにも見舞われ、第9戦イタリアGPからスペック02に改良される。しかし、アオイZIPフォーミュラの加賀城太郎がドライブする凰呀AN−21に競り負け、3連覇を阻まれてしまった。