《おぉ、弟を、地球の平和を守るため》

 宇宙からの侵略者・ダダ星円盤が地球に飛来、葉山博士と息子譲治、龍治が拉致された。この事件をきっかけに、世界各地でダダ星軍団による怪事件が続発し、国連加盟国の有志国による地球防衛軍が結成された。
 1年後、ダダ星人が地球侵攻を開始した。葉山博士は、囚われの星で二人の息子のDNAや人格パターンを移植したサイバロイドを完成させ、ダダ星軍団の侵略から地球を守らせるために、サイバロイド・宇宙鉄人キョーダインを地球に送り込む。
 飛行形態・スカイジェットとミサイル形態・スカイミサイルに変形するスカイゼルは、長男譲治の分身ともういべきサイバロイドだ。一方、次男龍治の分身であるグランゼルは、自走形態・グランカーに変形し、スカイゼルやスカイミサイルをその背部に載せて戦う。スカイゼルがスカイジェットに変形する際は、自らをミサイル形態・グランミサイルに変形させ、敵に体当たり攻撃を行う。
 この戦法は、一、十、百、千、万、億、兆、京の京台(強大、兄弟?)な力を発揮させるためのコンビネーションと言われる。キョーダインは2体の力を合わせることで、1京馬力もの超パワーを引き出すことができるのだ。
 ただし、念のため断っておくと「1京」の「京」は“キョウ”ではなく“ケイ”と発音するのが、数学の常識。

 キョーダインは地球防衛の任以上に、地球に取り残された末の弟で三男の健治を衛る使命を帯びている。サイバロイドに彼らの人格などを移植したのは、健治とのコミュニケーションを円滑に図るための、父親の思いやりだと考えられる。防衛・戦術ロボットに等しいサイバロイドに、龍治の大メシ食いという性格や、もの忘れしたとき両手で自分の顔を叩くという行動パターンまでを、わざわざ再現させていることは、身内にしか理解できない。
 しかし大メシ食いである龍治の生体パターンがグランゼルにも踏襲されているとなると、燃費は相当悪いとも思われるのだが、彼らのエネルギー源になる化合物の片方は、なんとガソリンなのだ。ガソリンに「ダダニウム」という超エネルギー物質の粉末をふりかけ、そのとき口にしたい料理の形に変化させしまう。この「タダニウム」こそが、超パワーと超燃焼効率の源となる触媒となるらしい。ところが、彼らはせっかく変化したオムライスを、腰から伸ばしたパイプに投入して食する。
 サイバロイドの悲哀がここにあるのかと思えば、それは少し違っていて、グランゼル=葉山龍治本人は、父、兄と共にダダ星で生きている。エネルギー源の補給をしているのは、あくまでサイバロイド自身なのだ。サイバロイドが葉山兄弟の分身であるという解釈の表れであり、葉山兄弟も、初期のサイバロイドの性能では、顔部分のカバーが開いてモニターが展開し、そこに投影された葉山兄弟がそれぞれの人格で話しかけるだけのことであった。これは後に機能プロテクトが解かれたか、性能向上が図られたかで、サイバロイドと疑似実体の分離が可能となった。その反面、グランゼルがグランカーに変形する戦法も執られなくなり、代わりに専用オートバイを導入していく。