《宇宙鉄人の支援マシン》

 葉山譲治、龍治兄弟は、サイバロイド・スカイゼル、グランゼルの頭脳部分に搭載されている複層コンピュータに、その記憶、知識、判断力、意思力、感情、性格の全てを記憶されている。それだけではなく、塩基配列も記号化して記録されている。この『サイバグラフィ』システムは、サイバロイドへの記録入力だけでなく、細胞配列を再生して実体を出力することもできる。
 地球に到着したばかりの頃のスカイゼル、グランゼルとも、自らこのシステムを作動させることはできなかったため、顔部にモニターが展開し、そこに投影された葉山兄弟がそれぞれの人格で話しかけるにとどまっていた。あるとき、宇宙放射線を浴びて、ジョイント回路に異常をきたしたキョーダインたちを修理するため、彼等の支援ロボット・ゴンベスによって回路が開かれ、サイバロイドと疑似実体の分離が可能となった。その反面、スカイゼルがスカイジェットに、グランゼルがグランカーに変形し、それぞれ巨大化する戦法が見かけられなくなっていく。

 

 疑似実体は、葉山兄弟の代理として社会復帰し、ダダ星の侵略ロボットと戦うときにキョーダインを呼び寄せ、再度、サイバロイド体内に融合する。この機能には、キョーダインを稼働させるダダニウムとガソリンの化合物以外に、キョーダイヤと呼ばれる鉱物のエネルギーを必要としているようだが、サイバロイド全システムの中で、疑似実体を再構成し、維持させるエネルギー消費量は、キョーダインを巨大化させるときの消費量に匹敵するのかもしれない。
 キョーダインは疑似実体シフトをとるようになって、エネルギー消費率の問題を抱えることとなったのではないだろうか。このため、効率的な移動、追跡装備として、スカイマシーン、グランマシーンの導入が図られたのだろう。航空機やミサイル形態に変形できるスカイゼルの行動半径と速度、ビークル形態やミサイル形態に変形できるグランゼルの自走能力を考えれば、何の問題もはらまずに、キョーダインがわざわざオートバイを使用する理屈は成り立たないと思われる。
 しかしながら、キョーダインと言えばスカイジェットにグランカーという最大の能力が、あまりにも有名であるため、スカイマシーンやグランマシーンにどのような性能が搭載されていたかを記録する文献は、ほとんど残されていない。