《超パワーを覚醒せよ》
 レスキューファイアーに配備された大型ビークルのうち、初のヒト型機材へ単独変形するエクスドラゴンは、超大型救急車をベースとして開発され、車体両側面に設置した大型掘削装置を前面展開するドリルモードと、二足歩行・双腕マニピュレータで救助活動から格闘戦をこなすロボットモードを備えている。
 操縦席での操作は、主にファイアー1が担当するが、各モードともレスキューメガホンを通した遠隔操作が可能で、ファイアー1以外のレスキューファイアーでも扱うことができる。また、ファイアードラゴンとのドッキングにより、さらに強力なロボットモード・レスキューキングへとハイパーアップする。ここまで来ると、もはや救助機器の域ではなく、事実上、対ジャカエン殲滅用の機動兵器であることを否定できない。
 エクスドラゴン本体は、ロボットモードにおける足部分が、ほぼ巨大救急車としての機能を完結させており、左右両方に小型ビークルを格納できるほか、通常はその片方が空きスペースとなるため被災者の収容に活用される。脚部以降の車体後部は、主動力モジュールや大型マニピュレータなど、ロボットモードのパーツ構成と言っていい。ファイナルレスキューもパンチを繰り出すエクス流星パンチと格闘型、レスキューキング時には巨大剣キングエクスバッシャーで標的をX字に切りつけ、凍結・粉砕するエクスクラッシュ。およそ救助作業とはかけ離れた運用となっている。
 基本形態のビークルモードは、全長23.5m、全幅9m、全高7m。重量は72tに及ぶが、最高速度は250km/hを誇る。ドリルモードは全長が30mに変化、地中掘削時も200km/hの走行が可能だ。ロボットモードでは全高20m、全幅15mとモジュールの組み替えが行われる(レスキューキング時はさらに全高28m、全幅18mに拡大)
 驚くべきことに、エクスドラゴンのエンジンは、吸気バルブの作動角とリフト量を連続的に可変制御するVVELを搭載した内燃機関である。まさかこの巨体でVQエンジンということは無いと思われるが、バルブトロニックと言わずブイベルと呼んでいることから、エンジン開発メーカーは明らかだ。世界消防庁が採用する陸上機器は、もはや他社の追随を許さない状勢にある。