《超火災を爆鎮せよ》
 世界消防庁長官・刑部零次は、レスキューフォースとネオテーラの戦いの中、地球上のある異変を察知していた。大気圏内の温暖化によって、北極の氷山が崩壊する様を、衛星軌道上のレスキュー・アイが観測。その崩壊は超災害には至らなかったものの、かつてない強力な生命反応を呼び起こしたのだ。
 北極には、古代の魔人「火族」が封印されていた。氷山崩壊によって復活した彼等はジャカエンと名乗り、世界を奪還するために各地に禍の業火を引き起こし始めたのだ。
 この事態に備え、刑部はジャカエンの破壊活動を「超火災」と名付け、レスキューフォースとは別働隊となる新たな機動部隊を編成していた。それが「レスキューファイアー」である。
 隊長以下3名の隊員で構成されるレスキューファイアーは、レスキューフォース同様、大型、中型、小型ビークルを駆使して救助活動に加えて超火災専門の消火活動を同時に遂行する。
 あのレスキューストライカーをはじめ、各種中型救助ビークルは彼等にも配備されているが、レスキューファイアーのために開発された新型ビークル・ドラゴンシリーズが、それらの運用の核となる。
 レスキューストライカーを上回る性能を有する新型ビークル、ファイアードラゴンは、スクランブルモードと呼ばれる長距離輸送用大型トレーラーと、ハシゴ車と屈折放水車の機能を併せ持ったレスキューモードの2形態に変化する。
 スクランブルモードの全長は36m、重量48t。小型車両4台を搭載可能だ。レスキューモードではトレーラーブロックが大型ハシゴ・ドラゴンラダーとなり、全長は20mにまとめられる。
 高所火災や危険物火災に対して、立体消火を展開する。ハシゴ先端に放水砲が2連で装備されており、ドレインウォーターを放水するほか、ドラゴンアンカー(救助ロープ)の射出機能も備える。レスキューストライカーと比較すると、レスキューモードならば若干コンパクトなディメンションと言えるが、中型新ビークル・ドーザードラゴンとのドッキングフォーメーションや、レスキューフォース時代の各中型ビークルをアタッチメントとして活用でき、汎用性は非常に優れている。
 操縦担当は、チームリーダーのファイアー1こと炎(ほむら)タツヤ。専用小型ビークル・レスキューダッシュ1がドラゴン本体内に格納され、コクピットとなる。各装備の操作は、コクピット内からの遠隔操縦方式で、ダッシュ1に搭載されたAIが、これをサポートする。
 ファイアードラゴンにも、ファイナルレスキューが装備されている。まず、ドラゴンラダー先端の放水砲からアイストルネードを打ち出す。これは青い龍のような冷凍エネルギー或いはそれを含む超高圧放水弾で、命中した物体は瞬時に凍結される。ここにダッシュ1を高速射出し、粉砕するドラゴンアタックの二段構えとなっている。
 ところで、ファイアードラゴンのラダーブロックには、何処かで見た覚えのある“ファイヤー”マーキングが施されている。これは刑部零次が自ら行動する際に使用している専用車コアストライカー・ファイヤーに描かれているものと共通だ。刑部専用の場合は消防士のファイアーではなく、なぜかファイヤーなのだが、このマーキングやドラゴンのモチーフを取り入れたケレン味溢れるビークルなど、彼肝いりの特別機動組織であることがうかがい知れる。