高速エレベーターカー
 FAB1との比較
 《大型重機を応用した救助装備》

 国際救助隊には、数多くの汎用・専用特殊救助機器が装備されている。 国際救助隊を結成したジェフ・トレーシーは、月面探査・開発に従事した宇宙飛行士として名声を獲得し、後に大型土木・建築用重機メーカーとして財を成すことで、国際救助隊の礎を築く。その財力と人脈が、主たる救助機器であるサンダーバード1号から5号までの、高度に秘匿されたスーパーメカニックの開発と運用に関わっている。
 彼等が組織された2060年代、人類は原子力機関を民需レベルにまで拡大応用し、その制御をオートメーション化して、豊かな時代を享受しようとしていたが、些細なヒューマン・エラーやソフト、ハードの故障、或いは思いがけない天災(ときには人災)に見舞われたとき、人間の手では太刀打ちはおろか、災害現場へすらたどり着けない大惨事を引き起こすという、危険と隣り合わせの日常が定着していた。
 このような事態に備えた救助機器は、製作からメンテナンスのまでの作業性の容易さとコスト圧縮、現場にあっては操作性の高さ(単純さ)が求められ、大型土木・建築用重機をシャーシとした現用作業機械からの発展系として開発された。
 しかし、その救助機器は、胴体着陸を敢行する超音速旅客機の車輪の代用となる受け皿、従来の重機の作業速度を遙かに凌駕する瓦礫撤去、狭隘な坑道やトンネル内を迅速に移動できるAFVなど、およそ想定されるあらゆる災害現場と救助ミッションに対応できる、優れた発想と、常識を越えたイマジネーションを、現実のテクノロジーと融合させ、実機として配備されている。
 高速エレベーターカー(ELEVATORCAR)は、超音速原子力旅客機ファイアフラッシュが受けた、車輪を降ろすと爆弾が炸裂するというテロ行為に対して、国際救助隊が人種もイデオロギーも利益も超えた、彼等の思想と理想を世界的にアピールする最初の出動と作戦行動に用いられ、無線誘導の不調という現場ならではのマイナートラブルを経験しながらも、旅客全員を無事に着陸・救助成功させた、記念すべき機材である。
 また、鉄の爪タンク(EXCAVATOR)は、洞窟の落盤で生き埋めとなった被災者を短時間で救出した削岩車両。トンネル探索車(MONOBRAKE)は、モノレール事故や火災現場からの被災者救助に活躍する。
 鉄の爪タンク
 トンネル探索車