《アギトの力 覚醒編》

 人類の超進化の形態といわれる「アギト」の力を宿す津上翔一は、その力を発現させることで、オルタフォースと呼ばれる未知のエネルギーを「コントロールする」オルタリングを身につける。
 これは、彼の意志によって実行することが可能だが、アギトの力がもたらすオルタフォースの全てを自在に操れるわけではない。オルタフォースは、ほぼ間違いなく、オルタリングの制御によって、翔一や彼のバイクに与えてられいるパワーだ。そして、翔一のオルタフォースは当初、バイクをマシントルネイダーへ変化させることはできたが、それ以上の力は発動できなかった。
 マシントルネイダーは後に前後ホイールのレイアウトやバイクそのものの構造体を変化させるスライダーモードにまで変形するが、これは「オーバーロードの闇の力」によって引き出された能力だ。これが本来のアギトの力だとすれば、オルタフォースはまだ不安定な段階のものと言える。

 
 津上翔一は、血相を変えて科学警察研究所に飛び込んできた。ロンドン大学連合で教鞭を執る小沢澄子に、こうアドバイスされていたからだ。
 「アギトの件で何か困ったら、科学警察研の榎田ひかりさんを頼りなさい。あんたとはきっとウマが合うわよ」
 その代わり、いじりたおされるわよ。とも言われていたのだが、とりあえず他にアテがなかったのだ。

 「あー、あなたがレストラン・アギトの名シェフさん! いっぺん食べに行きたいと思っているのよー」

 榎田ひかりは、特段、変人には見えなかった。変人の雰囲気は、むしろ小沢の方が強かったような気もする。が、ぶっきらぼうな小沢に対して、榎田はよくしゃべる。ひとしきりしゃべくる。翔一が口を挟む余地がないくらい、初対面であることが信じられないほど世間話が続く。

 「えーと、ごめんなさいねー。なんだっけ?」
 「えーはい、まだ何も言えてません」
 「あらそう。じゃああらためまして、どうしました?」
 「実はバイクが、ファイヤーストームって言うんですけど、僕が変身していないのに、トルネイダーになったまま元に戻らなくなってしまって」
 「あらたいへん。どれどれ」
 「そのうえ、今までの変形と比べて、かなりへんてこな形になっちゃったんですよ」
 「そうなの? ごっついけどこれくらいなら、ゴウラムがくっついたBTCSよりもスマートよ」
 「いやー、これ目立ちすぎますしー」
 「津上君は、どんな風にして変身するのかしら?」
 「よくわかんないんですけど、オルタリングがああしてこうしてオルタフォースがかくかくしかじか・・・」
 「なるほどー。そりゃきっとあれだわ。最近、肉食偏重でしょ」
 「あ、はい。この間、氷川さんと勝負しましてね、どっちがアイアンストマックかを焼き肉で」
 「そのあと変身は?」
 「行きがかり上、一回してます。それでこいつが・・・」
 「その間、“お通じ”なんかは?」
 「そういえばー・・・疎遠かなあ」
 「ほらねー。食物繊維不足ね。オルタフォースといったかしら? それを生み出す津上君自身の体調は、間接的にマシンにも影響を与えるのよ。このカウルの顔つきなんか、もういかにも肉食ーって目つきになってるし。これは肉食偏重の現れよ。魚偏重だと、鱗や鰭が出てくるかも」
 「えーっ? じゃあ焼き鳥とかフライドチキンばかり食ってたら、翼が生えてくるんですかー???」
  「その可能性も否定できないわね。偏食実験を試してさ、マシンがそんな風に変形するようだったら、新しいアギトの力の発現といっても良いかも。とにかく元に戻してみるのには野菜を食べて、栄養バランスを直して変身なさい。」
 「なるほどー。美味しいことはやっぱりすばらしいってことですかね。いやーさすが榎田さん、科学的診断ですねえ。」
 「保証はしないけどねー」

 その後、偏食実験が行われたかどうかは定かではない。
※ あくまでつくばーどオリジナルであり、
「仮面ライダーアギト」というドラマのフォーマットとは無塩・・・
じゃなくて無縁です。


そして格闘編・核心編へ続く