オートバジンバトルモードの頭部センサーブロックのデザインには、HRP(HRP:Humanoid Robotics Project)というヒューマノイドロボット開発プロジェクトの影が見え隠れする。

経済産業省が1998年から5カ年計画で実施してきた「人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発」の一環で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から財団法人製造科学技術センター(MSTC)への委託、産業技術総合研究所などの共同研究により、その開発が行われている。

そこで生まれたHRP-2プロトタイプは、身長154cm、体重58kg(バッテリ含む)、股関節が片持ち構造で隘路の歩行が可能なほか、各部関節の自由度が非常に高い。また、電装系の高密度実装によりバックパックを不要とした点が、本田技研の独自開発によるPシリーズやASIMOとの最大の違い。

「不整地歩行、転倒制御、転倒回復動作等の人間型ロボットの共通基盤技術」「人間との共同作業等の応用技術」の研究開発に利用される予定で、実際に研究員がド突いてしりもちをつかせても、自力で起きあがってくる姿がけなげである。

プロトタイプは、無味乾燥な顔立ちとボディだったが、最終成果モデルとなるHRP-2は、今風な顔立ちと、洗練されたボディに換装されている。このモデルでは、内部APIを公開する計画で、ユーザーによるソフトウェア作成が可能な仕様とされ、研究開発用プラットフォームとして市販することも検討されているそうだ。

オートバジンの頭部センサーブロックは、どこから見てもHRP-2の血筋なのである。つまり、HRPが一応の成果を見て、最終成果モデルが市販され、スマートブレイン社系列のスマートブレイン・モータースがこれを買い取って独自のハードウエアを首から下に加味した、ということなのだろうか?



 最終成果モデルHRP-2の外観デザイン(写真下段中央上)は、「機動警察パトレイバー」などのメカデザイナーとして著名な出渕裕氏が担当した。実はオートバジンよりも、パトレイバーに登場してきた篠原重工製AV98式イングラムや、その後継機などに、この顔のデザインは濃い血統を持っている。デザインした方もさせた方も、その辺を確信犯的に心得ての仕事と思われる。ただし、バジンのデザインをも、出渕さんが手がけているかどうかは未確認である。