《かなり半端なデュアルパーパス》
 正式型番はTRIDORON-3000だが、警察機構が開発したものなのかどうかは定かでなく、特殊状況下事件捜査課に配備され、同課所属の泊進ノ介が使用しているものの、同課の職員すべてに開示されているわけでもないらしい。
 全長4900o、乾燥重量1450s、最高出力3000ps(2206kw)。20世紀末のミドシップスポーツカーが素体のように見えるが、その車両を改造したものとも言い切れない。基本形態を「タイプスピード」と称する。
 幾種類もの特殊タイヤや武器を超高速で物質化させるアッセンブルギアを搭載し、特殊空間に貯蔵されている謎のマテリアル粒子を取り出し生成する。
 動力源はグラビティドライブエンジン。コア・ドライビア-Tと呼ばれ、その回転と振動を利用した波動は、ロイミュードが展開する重加速現象を相殺する。つまり重力制御を実用化しているエンジンなのだが、原理については明らかにされていない。
 この車体に積み込まれたユニットをして「大型」と示唆されていることから、仮面ライダードライブのベルトやシフトブレス、シフトカーなどのパワーユニットにも「小型」のものが応用されているのかもしれない。
 最高速度は時速560qに達する。車体前方のフェンダーサイドウイングからは特殊フィールドが放射され、高速走行を安定させる。このフィールドとパーツ自体の強化超合金は、最高速度でも耐対物衝撃性能を有している。
 前輪のバリアブルトルクユニットは、生成された特殊タイヤを装備し、放出する。しかしその名称から想像するに、前輪が駆動輪としても機能する可能性がありそうだ。
 このことはフロントミドシップ・リアドライブであった素体車両のコンセプトを大きく覆すのだが、トライドロンは駆動方式どころか車体をユニット化し組み替えることで全く異なる形態へと変形するため、素体の持ち味などを語れる余地は残されていない。
 
 どこをどう押したり引いたりすればこの様な形態に変化するのかは理解に苦しむが、おそらくアッセンブルギアの転送ポータルが引き出す特殊空間からの粒子を活用し、フェンダーサイドウイングの発生フィールドが変形空間を創出することで、常識では考えられない車体のユニット組み換えが実現しているようだ。
 コクピット以外が完全にひっくり返りながら、しかも前後が逆転した形態は「タイプワイルド」。ラフロード仕様と思われるがステアリングの切れ角はなさそうで、左右ホイールの回転差で旋回するのかもしれないが、アプローチアングルはともかくデパーチャーアングルはオーバーハングの長さで期待できない。
およそド突き合いには向かないだろうと失望しかけたら、なんと車体をエビ反らせコクピットを持ち上げマニピュレータを展開する「タイプテクニック」への変形が可能。
 この双腕がどれくらいのトルクを持つのかは不明だが、ある程度の格闘や事故・災害現場での救助活動を視野に入れての装備だろう。だが6輪接地の安定性はありそうでも、横方向からの攻撃ではたやすく横転しそう。タイプワイルド以上に不整地走破性も低そうだ。
 通常、このビークルは「トライドロン」と呼ばれる。その昔、やはり仮面ライダーの1人が赤い色の自動車型マシンに乗ったことがあり、その名前に酷似しているのだが、因果関係は不明である。