《鋼の腕が大地を拓く》
 惑星ゾラは、かつて存在した文明が壊滅し、その再構築を試している世界である。
 ゾラの原風景は、まさしく荒野であり、道路や鉄道といったインフラはまだ建設されていない。人々の移動手段は、ガソリンエンジンを搭載したローター式あるいはジェット式のホバギーか、やはりガソリンを燃料とする二足歩行機械ウォーカーマシン、それらを搬送し、同時に生活空間でもあるランドシップなどに頼られていた。
 ホバギーは、大型シングルローターを後部に備えたものがポピュラーで、ローターの上昇能力のみで浮遊し、操縦者の荷重移動によって方向を転換する乗り物だ。ザブングルに続いて開発された戦闘型ウォーカーマシン、ウォーカーギャリアには、このホバギーを大型化させたメカニズムが盛り込まれている。
 ウォーカーマシンは当初、土木作業やゾラの大地から産出される鉱石ブルーストーンの採掘のために開発されていたが、イノセントの恣意に変化が現れたのが、ザブングルタイプであった。
 滅びた文明を立て直し、再び二本の足で大地に立つという意味を込めた「ウォーカーマシン」が、道具の域を超えて戦闘用に設計変更され、機動力の付加として2機のマシンに分離、ドッキングを果たし、用途に応じて形態を使い分けられるものとされたのだ。

 ザブングルタイプと比べて、ウォーカーギャリアはその戦闘色をよりストレートに表現している。変形工程の簡素化と、分離後のマシン形態に、乗り物としてのデザインのこだわりを捨て去っていることが、ひとつの表現だ。下半身を構成するギャリィ・ウィルは、ザブングルのブングル・ローバーのような、カーゴとしての機能すらない。単に下半身を倒し、3点支持の大型駆動輪によって高速移動する。
 上半身のギャリイ・ホバーは、前述した大型のホバギーのような、投げやりなデザイン。ウォーカーマシンの身体を分割した際、移動用推力を上半身本体に組み込みようが無く、操縦ブロックの真後ろに可動式ローターをくくりつけている。このローターは、ウォーカーマシンにドッキングしているときにも使用可能で、ジャンプ時の補助をはたす。
 ギャリアの登場によって、ザブングルはゾラの最新鋭ウォーカーマシンとして、その性能は評価されながらも、一気に主役の座を明け渡すこととなった。イノセントの思惑通り、ゾラの住民、シビリアンの好戦的な本能と、野心という知性が結実していく、時代の変革が始まっていくのだ。