|
|
「私たちは前回、特大エビフライ定食食べてましたー」
完走はもちろんだが、レイドを通して観光を楽しむことが勝利の秘訣。と、第10回の優勝者であるだいすけ・みき夫妻のメッセージに従い、一行はそれぞれ海鮮丼を食いに行ったりぬれ煎餅を買い求めに行ったり、銚子電鉄の撮影にいそしむ。
だが、観光地だからうまいモノを食っているはずというオフィシャル側の読みの裏をかき、昼食を後回しにして利根川を渡ってくる者もいる。さらに、CPで合流した流れを利用し、迷子にならないよう前走者のリードを受けるという新手のワザを繰り出してくる者もいる。うーん、さすがに11回目ともなると、攻略の工夫が増えてきた。でも着順も得点差になるんだけど、そのへんは考慮していないみたいだなあ。
銚子の街なかを、もう少し迷走させるルートを設定すべきだったかと、反省しながら盛りそばをすすっているオフィシャルに、次々と茨城側へ移動したと、出走者からの報告連絡が入る。茨城側は、ラストCPまでは田舎道。やはり先頭のゴール到着時間は大幅に早まりそうだ。
こし亀さんと手分けして、残りのCPで彼等を待ち受け、順位の確認と撮影を進めていく。多少雲が出てきたが、このまま天候は持ち堪えてくれそう。出来れば晴天のまま後半戦を楽しんでもらいたいのだ。このあたりはSレイドでも一番人気の、風車群が林立しているエリア。そしてSレイドには出題していないシーサイドパークの風車と展望台も、今回のCPの目玉のひとつになっている。
ただ、唯一の懸念材料が、不用意に浜辺へ乗り込んでいってスタックしてしまうことだ。それに対応するため、ルート案内において数少ない指示を出し、「砂浜に入る必要は無い」と、但し書きを添えてある。
それにもかかわらず、
「“入るな”と言うことは、実は“行ってこい”と暗示をかけている一文ですよね」
などと、超拡大解釈をする面々も出た。これがまた、クレバーな走りでBレイド2回、買い出しトライアル連覇という実績を持つsugiさんであるところが、更なる面白さ。あおいろさん、青影さんも連れだって、風車の根本まで道草を食いに出かけていったらしい。
「そういうのは減点にしましょう」
こし亀さんはにこにこしながら記録簿にチェックを入れる。
「俺も行きたかったんですがねえ、嫁に阻止されちまいましたよ」
とは新月さん。
「人の車をなんだと思ってるのっ。もう老体なんですから、のまちゃんは」
そう言う風花さんは、Sレイドの時には一番乗りで浜辺に入っていた。 |