つくばーど採用歴代エスクード史 その3


 高いコストパフォーマンス 93年型TD01W/Gリミテッド



93年から導入、現役で活躍中

 1990年10月に登場したTD01W「ノマド」は、フランス語の「遊牧民」という言葉を意味します。
 このサブネームと、ハードトップに対してホイルベースで280mm、荷室長では295mmがストレッチされ、後部座席用ドアを追加しても全長を3975mmに抑えたところが、たとえば国内のフェリー運賃を考えても、コストパフォーマンスを高めています。
 なんといっても5人乗れる。荷物を屋根に載せないですむ。ハードトップのカタチが破綻していないなど、ミドルクラスに負けないユーティリティを、コンパクトクラスで挑んだところが、スズキらしい取り組みだと感じます。
 意外と言っては失礼なのですが、エスクード仲間でバリバリのオフロードトレッカーの顔ぶれをみると、ノマドユーザーが多いのです。
 アウトドアステージへの道具を運び、ときには車中泊もやってのける。それらを自然に使いこなせるという意味で、ノマドはロングエスクードのサブネームであると同時に、彼等の代名詞のようにもとらえることができます。

 この頃になると、市場としては右肩上がりのエスクードだったようで、93年モデルの限定車は、2000台にまで枠が拡大されています(93年型ゴールドウィンのみ1800台)
 初限定として設定された89年型のGリミテッドは僅か200台でしたから、90年代前半のエスクードの売れ行きが、クラス市場をどんどん切り開いたことがわかります。
 エスクードのイメージモデルはコンバーチブルですが、エスクードを市場に固定させていったのは、ノマドの実力でしょう。
 当時の噂ですが、鈴木修会長が社長職に就いていらした折、自ら公用車としてノマドを使っていたとのことです。
 エスクードが2000ccに格上げされるまでは、1600ノマドは名実共に、スズキのフラッグシップに位置する一台であったのかもしれません

 いつ頃から始まり、定着したのかブームが去ってしまったのかは定かではありませんが、アウトドアライフを満喫しようというムーブメントは、やはりひとつのバブル景気による演出で、ノマドはその追い風に乗ったクルマでした。



04年、いよいよ10万キロ台へ
 そういったコンセプトをまたも無視して、つくばーどが導入したノマドは、シティユース主体で演出されたGリミテッド。
 G限定としては、5代目に当たるモデルで、93年型のエスクードをベースにしているため、3型となります。
 ただ言い訳をするなら、シティユース志向のクルマが、そのまま郊外を経由して山奥へ出かけられる。これは、エスクードに与えられた本来の姿とも言えるでしょう。
 問題は、このノマドは林道には入るけれども、クロスカントリー使用は厳禁としていることです。もちろん、にっちもさっちも行かなくなった先代のヘリー・ハンセンや、現在のらすかるを、スタックから救助した経歴は持っています。
 つくばーど所有のGリミテッドノマドは、爺ノマドと呼ばれています。深い意味はありません。爺と言うわりには、実はつくばーど現役の所有車では、一番走行距離が少なく、04年3月の車検時点で、まだ10万キロを越えていません。
 乗り出しの際のGリミテッド仕様特装品と、独自に加えたカタログオプション以外、ほとんど手を入れていないのですが、5万キロを越えたあとに、足回りだけを三段階の可変ショックと、レートを高めたコイルに変更しました。ショックアブソーバーはカヤバの製品ですが、これも厳密に言えばカタログオプションです。
 16バルブエスクードで多発した、プラグコードの不良による突然3気筒化は、このノマドも経験しています。ユーティリティは、ハードトップに比べれば言うことはありません。リアシートが93年型ではリクライニングしないことが難点ですが、パーツの入れ替えと少しの加工で、これは可能のようです。街乗りにはことさら不満はないのですが、高速道路のロングランでは、一度2000ccに乗ってしまうと、どうしても非力さを感じます。特に延長の長い登坂は不得手です。
 2006年いっぱいで退役しましたが、こし亀さんが乗り続けてくれています。