つくばーど採用歴代エスクード史 その7の弐

 

 

 

 

 

 名付けて らいのす



そんな馬鹿な、の命名

 臨時代走のエスクードにまで名前を付けてどうするのだと思いながらも、ついつい悪のりの癖が出ます。そこで最初に出てきたのが、何をどうすれば思いつくのか「オオアルマジロ」。おそらくはラジエターグリルの格子模様が、アルマジロの甲羅にでも見えたのかもしれませんが、一見スクエアなようで、なんとなく猫背に見えるルーフラインが、その手の動物を連想させた。というのが本当のところです。
 しかしこの案は家族全員から却下をくらい、当て字を考える余地もなく放棄されます。
 らすかるの代走で、さらに大きな車だから、ハウザーだとかドニイブルックでは? という案や、ハウザーよりヨーゼフやパトラッシュの方が知名度があるなどと、だんだん話があらぬ方向へ転がりだしていくのです。
 いいんですけどね、ツーリング中、眠くならずにすむので。でもどうしてうちの家族は、「らすかる」という名前と、スターリング・ノースの物語に出てくるアライグマと、なぜ切り離して認識しないのか・・・

 そういうことなら、Raizouの「らい」と、Sterling Northの「のーす」を持ってきて「らいのす」にしてしまえ。と、そんなんで良いのか? な呼称が浮かび上がりました。
 「犀ですか!?」
 「角がないでしょう!」
 「だって量産車だもの」
 「えらい人にはわからない話になってきたーっ」
 それでもさすがに、毛布を抱えた少年にまでは転覆しなかったので、この3.2XSは妙高高原からの帰り道に「らいのす」と名付けられてしまったのです。もちろんスズキ自販には内緒です。だって説明したところで、怪訝な顔をされるだけですから。
 BLUEらすかるやぷらすBLUEのように、アルファベットの符丁は入れないのか? という意見も出ました。これはいろいろな言葉を持ってこようとしたのですが、結局はBLUEの絶妙さに匹敵するものがなく、難航しました。
  



この後ろ姿は、歴代の雰囲気を漂わせている?

 つくばーど採用7代目の、というところは活かしてみたかったので、「7」にたどり着けそうなダイアグラムをしばし考えていくうちに、クェーサーグレーメタリックの車体色をどう表現するかというアプローチから、一度は「DARKらいのす」という言葉も出てきました。
 しかしDARKを日本語打ちしても「しちすの」と、日本語にならない。無理矢理これを「7’thの」と読ませることも考えてはみましたが、とても「BLUE」の域には届かない。
 そうこうしているうちに、ああでもないこうでもないと騒いでいた家族が根負けして眠ってしまい、名前を付けられたことなど知るよしもない3.2XSは50号線をひた走るのでした。
 でも良かったのだよ、らいのすで。これが「カバ」なんて連想されたりしたら、いったいどうなっていたことか。実際には犀の背中はアルマジロとは反対のごつごつしたラインなのですが、こういうものは言った者勝ちです(そうなのか?)
 インプレッションもへったくれもない話になってしまいましたが、家族は僕以上に、3代目エスクードに親しみを持ったようです。そりゃまあ、すべてを一新して登場してきた3代目ですから、ほぼすべてにおいて初代を凌駕しています。ほぼですよ、ほぼ、ですからね。でも、若くないから認めざるを得ない。3代目に謳われている本格的オフロード性能とは、初代のそれとは異なるテリトリーにある。なんでもかんでも「エスクードはこうでなくてはだめなのだ」と、型にはめてはいけないことを。
 オールラウンダーという素性はきちんと継承しながら、SUVとしての素養を持ったのが、現在のエスクードなのでしょう。どのように使いこなすかは、ユーザーの個性です。そのうえで、僕はこの18インチホイールは嫌いです。ホイールのせいで薄っぺらくなってしまうタイヤは好きではない。コーディネートをするのなら、多少のガレ道も走れる方向へ持って行きたい。それがいつのことになるのかは、まだまだ現実味を帯びてもいませんけどね。
 短い時間でしたが、「らいのす」はしっかりと代走をこなしてくれました。一新されても、それが確かにエスクードであることは、やっぱり嬉しいものです。