四半世紀を過ごして
O エスクードは、ファッション性に振ったパーツをリリースするショップが多かったですね。ジムニーに関しては、とにかくクロカンに特化したパーツやコンプリートものを出すところばかりだったから、ユーザーの底辺は限られた。顧客の裾野は確かに、エスクードが広げたと思います。
APIOではトライシリーズという足回りやプロテクションパーツをリリースして、コンプリートもやった。伊豆のモビリティパークでテストをやったらものすごく走った。トライシリーズのパーツはけっこう売れましたが、ギア比を下げるリングギアは、60台分くらい作ったけれど数セットしか出なかった。
N 尾上さんはいま、3代目エスクードのTD94Wにお乗りですけど、あれをベースに何かをやろうということは考えない?
O 昔と違って今のエスクードは、乗り方をジムニーと同じでは考えていないですよ。でも何が気に入ったかというと、あれが出た頃、4×4マガジン誌の主催で、嬬恋で雪の中でのテスト走行をやったときに、実に良くできていると感じた。
横滑りやトラクションの制御など、ここまで走るのかと驚いたんです。その後、クルマの乗り換えの時にクラウンやらメルセデスやらBMWのX5も乗り比べて、もう一度エスクードに乗ってみた。
3代目エスクードとX5はとてもよく似ていて、ロードノイズの伝わりがX5より大きかった。エンジンや足回りのマウントがダイレクトかゴムを介しているかの違いですね。そのあたりはBMWの方が優れているんだけれど、エンジンの整備性はスズキの方が勝っていた。2.7のV6が無くなってしまったのは残念だけれど、今の2.4はどうなの?
N よく成熟したクルマになっていますよ。昨年夏にマイナーチェンジして、現在はスペアタイヤも廃止されていますが。
O 本格的にオフロードを走るクルマではなくなったからね。だから私も、クロカンはジムニーで走って、普段乗ったりスキー場まで遠乗りしたりするときにエスクードという使い分けをしています。
スペアタイヤの議論はいろいろあるようですが、まあ私の使い方だったら無くても支障はないです。デザインを上手にまとめられれば、意外とかっこいいんじゃないかな。
N 機械制御の介入をあまり感じさせないでしょう?
O TD94Wに限って言えば、デバイスのことを意識しないで乗っていられるのはいいですよ。大雨の中でもきちんと止まる。いろいろなエスクードに乗ったけれど、94Wには最高点をあげられる。今はショートボディもないんだよね?
N ありません。ほんの一時期リリースされただけです。
O TD01Wクラスの大きさで、つまりジムニーシエラのボディをストレッチして、顔立ちを変えて、それをエスクードとして出すという手は、5ナンバークラスとしてはニーズがありそうですが。
N ジムニーとエスクードは、共通化という考え方に持って行ってもいいでしょうね。駆動系を1600から2000ccまでに対応させていけばいいので。
O 昔の四駆は、いじって面白かったけれど、今のクルマはエスクードに限らず完成度が高くて、いじれるところがほとんどないですね。私のTD94W自体、これで十分いいじゃないかと思う。逆を言えば、古いエスクードをレストアして乗るというのも楽しいかもしれない。
N エスクードの古い固体は、エコ替えが始まってからなかなか入手しにくくなっているでしょう。
O いや、実はTA01Rのポンコツを1台持っているんですよ。いま忙しくて手を付けられないんだけれど、25年ならぬ30周年あたりに、これをばりっと手直しして乗れたら、かっこいいかな。
2012年 APIOオフィスにて
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