Exemplary 
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戦うエスクード
Team WESTWIN  島 雄司 さん
 「クロカンに強い車でクロカンをやれば、勝ちに行く確率は高い。だけど、みんながあっと驚くような車で、勝ちをねらいたいじゃないですか」
 WESTWINで九州、関西圏のトライアル、クロカンなどの競技に出場している島雄司さんは、目立たぬ存在ながらも基本性能をきちんと備え、素材としてもユニークな1台として、エスクードを探していた。折しも、E−ACT(当時)の看板であった白狼ことTA01Rが退役する時期と重なり、このエスクードが島さんの目にとまる。コンバーチブルの白狼は千葉県から福岡県に搬送され、ピックアップスタイルへと生まれ変わり、E376と名付けられた。
 E376は、1型のコンバーチブルがベース。OHC8バルブのエンジンは、高回転側の伸びはないが、1600ccクラスで1tそこそこの車体に対しては、低速トルクを活かすことができる。しかしエンジンの特性はさておき、足回りの設計が独特のエスクード。しかも前後とも脚の動きは良くない。それらはコイルやショックとスペーサーによってクリアランスを稼げるが、リアサスの設定が未完であった1型には、旋回中にアンダーステアがオーバーステアに豹変するブレーク特性が顕著だ。
 しかし島さんはそこを評価し、それ故のコーナリングマシンとして、E376に乗った。
 「TA01系ならではの軽さとバランス、エンジンブレーキにより車体がフロントフルボトムすると同時に、Rトラクションが抜けた時に起こるリアAア−ムならではの独特の旋回力を生かせる走りが出来たらいいですね」
 E376は2001年から2006年まで、改修と出走を繰り返した。エンジントラブルのエピソードは聞かない。逆に、評価されていたコーナリングのために負荷のかかったリアサスの破損が、ここで紹介しているレースシーンでも、リタイアの原因となった。ストラットの取り付け部分が破断し、コイルも脱落したというが、そこまで攻め込むだけの信頼性を、島さんは抱いていたということだ。
 「私自身の引退レースのつもりだったんですけどね、みんなしてあおるんですよ。それなら、隠してあるもう1台を仕上げてみますか」
 実はすでに、95年式のゴールドウインをベースとした01W型の2番機が存在する。戦うエスクードの姿は、まだしばらく追いかけていけそうだ。
レースレポートはENCOUNTERにて掲載

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