-1600ccショートボディシリーズ-



-1600ccショートシリーズ・ここからエスクードは始まった-
 
 エスクードTA01W(同系でコンバー
チブルのTA01R及びバンモデルTA0
1V)は、エンジンでは8バルブと16バ
ルブの前後期、駆動系ではオートフリーハ
ブ式(一部マニュアルハブ式)、ドライブ
セレクト4WD式の前後期に大別される。
 1988年に登場したエスクードの原型
こそがこのショートボディ3タイプであり、
バンモデルのみ90年のマイナーチェンジ
で消滅するが、この3車種1型はいずれも
車重が1tを下回る。
 写真は最軽量を誇るTA01V(バン)
でその重量は950kg。エアコンもパワ
ーウインドーも付いていないし、後席はベ
ンチシート(故に乗車定員はショートで唯
一の5人乗り)。販売台数も少なく希少な
1台である。


 
 G16Aというエンジンは、その名の通
りG型の13Aをベースとして開発され、
登場当初はネット82馬力を示していた。
 ロングストロークな8バルブ仕様のOH
Cという極めて平凡なエンジンなのだが、
この車体の軽さが功を奏して、スポーツで
あるかどうかはともかく、ライトウエイト
なフィーリングは演出されていた。また、
低速トルクの扱いやすさも評価された。
 ただし、ATモデルは後のノマド追加時
のマイナーチェンジまではGM製ロックア
ップ式3速という前時代的な代物で、お世
辞にも走りの軽快さという域には達してい
なかった。シティユースとしながらも、上
が回らない。そこにはクロスカントリー趣
向の出力特性が強く出ていたとも言える。
 ハードトップとコンバーチブルは、初代の最終型7型まで、約10年にわたってこの
エンジンのリファインを繰り返しながら、それぞれ100馬力、2代目では107馬力
へと成長。ATモデルもアイシン製ロックアップ4速へと変更され引き継がれている。


 
 初代エスクードのステータスシンボルと
も言うべきコンバーチブルは、国内モデル
では1600のみの設定となっていた。シ
ョートモデルの実際の市場では、ハードト
ップに続いてコンバーチブルという無難な
需要となったが、コンバーチブルの幌は、
従来の4輪駆動車の幌モデルとは一線を画
し、格納式のフレームにベルクロやホック
で固定していく操作性、着脱作業性及び密
閉性の良さが評価されている。
 実用性は低く、今後このようなモデルが
スタンダードラインナップされる可能性も
期待薄だが、4駆のオープンモデルをスマ
ートに身近に感じさせる事に成功した数少
ない車だと言える。
 このボディにFRPキャノピーを取り 付け、前席屋
根のみをオープンにできる「 レジントップ」も、短期
間設定された。
 型式はコンバーチブル同様 TA01R。後部分は固
定型で、当時のライバル車・ダイハツロッキーのよう
な脱着ギミックはなかったが、 スズキ得意のハンス
ムート・デザインによるシルエットはエスクードの形を
変えることなく、ハードトップとは異なるパネル構成が
ひとつのモデルとして個性を発揮した。
 後に約1年間だけ国内投入された3代目3ドアのピ
ラー構成は、このレジントップのデザインを踏襲したよ
うに感じられる。
 リアハッチは下部パネルを横開きし、上部ハッチを
跳ね上げる2アクション。


 
 ハードトップに関しては、2000cc
の登場においてもエスクードのベーシック
スタイルとして生産が続けられ、クロスカントリー志向のベーシックグレードとして
LSDを標準装備した「S」もラインナッ
プされた。
 また写真の車の様に1600HTの「4型」か
らフロントグリルとバンパー形状が、ノマ
ドと同形状のものに変わっている。このデ
ザイン変更は好みの分かれるところだが、
ボルト位置の加工でどちらにも交換する事
が可能である。
 モデル末期には、フロントバンパーエク
ステンションと、オーバーフェンダー状の
サイドスプラッシュガードを装備したグレ
ードが存在した。
 コイルスプリング、ストラット、リアアクスル、Aアームとトレーリングロッドで構成される、リジッドアクスルタイプのリア
サスペンションは、エスクードの大きな特徴。自由度が高く、オフロード向けの基本性能に貢献しているが、センターウ
ィッシュボーンは、高速度のコーナリングで、横力を受けたアクスルがアンダーステアを回避するために“コーナーの外
側”へ向くというジレンマも抱え込んでいた。前後とも、サスペンションのストロークが短かったことも、クロスカントリーユ
ーザーを泣かせたが、ラダーフレーム構造とトランスファーのローレンジを持つことで、伊達ではない素質は備えている。




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