-1500ccHYBRID-



-1500ccハイブリッド エスクードいよいよ電動化への戸口に-
 
 2021年9月、従前の直噴ターボ仕様が廃止された。
 エスクードのブランドが潰えたと騒然としたものの、
欧州では翌年早々にハイブリッドビターラが発表され、
約7カ月のブランクを経て日本においてもエスクード
のハイブリッド版がマイナーチェンジモデルとして復帰
した。
 世界情勢は環境基準を理由に、2030年代には内燃機関
のみの自動車を新車発売しない舵取りをしている。この
潮流に倣えば、前段階としてのハイブリッド化は当然の
選択であり、エスクードはブランドというよりも自動車
としての過渡期に足を踏み入れたということになる。
 歴代モデルでは最もドラステックな変化だ。


 
 新たに開発されたエンジンはK15Cの型式。自然吸気
の1500ccで74kWの最大出力を6000回転でマークする。
 最大トルクは132N・m/4400rpmと、高回転型。これを
アシストするハイブリッドモーターは、マニホールド下
部分に配置されており、出力・トルクは24.6kW/5500rpm、
60N・m/100-2000rpmと低中速域をカバーする。
 エンジン側の燃料はレギュラーガソリンでタンク容量
は47リットル。リチウムイオン電池は56セルとなる。こ
の組み合わせにより、国土交通省審査に基づく燃料消費
率はリッター19.6km。実際に走らせてみないと確認でき
ないが、実燃費として15.0kmを出せれば申し分ない。


 
 1グレードモデルのため、トランスミッションは6速のみ。
ただし本モデルはオート・ギヤ・シフトを採用しており、モ
ード選択によりマニュアルミッションに近いパドルシフト変
速が可能。MTモード時にはEV走行はできない。 このAТ/MТ
選択以外に、走行モードは標準、エコの切り替えが可能。
 FFベースのフルタイム四駆を制御するALLGripも健在。ここ
でもスポーツ、スノー、ロックモードそれぞれでは電動アシ
ストは停止する。
 このことを前提にすると、昨今のSUVらしく機敏に走らせる
シーンではガソリンエンジン従来のパワー・トルクを活用、
電動アシスト側の効率を日常使用のオートモード主体に設定
して実用域を確保しているようだ。



 
 外観に大きな変更点はない。ヘッドライトのランプ構成
を一部新設計した程度。バッテリー搭載のためラゲッジス
ペース床下の空間は埋められてしまった。
 四代目に移行した時点で、エスクードはそれまで継承し
てきたクロスカントリー性能を日常ユースの四駆レベルに
希薄化させたが、純粋なクロカンモデルの初代に「より常
用域を」もたらした二代目、その良いところを進化させた
三代目と、歴代の変化をつないでみれば、四代目は市場に
寄り添うことで失うものへの怖れを厭わなかった。
 いずれの将来、あらゆる自動車が完全電動化の道を辿る
ことは避けられない。その意味でも、ハイブリッドエスク
ードは、ブランド内での開拓精神をきちんと受け継いだ。






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