-TA02WとTD02W-



-モデルチェンジという大役を背負う-
 
 1997年11月、エスクードは2代目に
フルモデルチェンジした。
 このときの車種構成はなかなか複雑で、実
は初代もそのままラインナップされており、
98年2月まで、TA/D51W系と61W
が混在していた。これはカタログ上ではモデ
ル切り替えされ、両者が同一カタログに掲載
されていたのではなく、実際の市場でのスト
ックがラップしていたものだ。
 ディーゼルのTA/D31W系はこの時点
で一旦消滅するが、51W系、61Wが市場
から消える98年2月に、ディーゼルモデル
がTD32W、V6モデルがTD62Wとし
てフルチェンジする。バンタイプの復活は、
当初から考えられなかった。


 
 2代目のラインナップはガソリン車が5種。
 1600cc3ドアのTA02W
 1600cc5ドアのTD02W
 2000cc3ドアのTA52W
 2000cc5ドアのTD52W
 2500cc5ドアのTD62W
 ディーゼルモデルとして2000cc5ドア
のTD32Wという布陣となった。
 02W系と52W系は、標準装備の異なるJ
M(標準)JZ(上級)というグレード分けも
なされていた。コンバーチブルと5MTモデル
は、国内仕様では廃止された。
 物議を醸すこととなった外観は、提携関係に
あったGMからの要請など、北米市場での販売
を主力ととらえたことによる。初代は初代で、
どこかプジョー風の01Wだったのだが、その
“カタチ”は国内でも評判が良かった。


   それだけに、面取りされて丸みを帯びた外観には、多く
のファンが驚き、いかにもアメリカンなフロントグリルのデ
ザインを拒絶する傾向が強かった。
 2代目が不評とされた決定的な事情は、車の基本性能
などではなく、ほとんどこの一点だったようにも思える。
 02W系、52W系のガソリンエンジンは全てL4。G16A
とJ20Aを踏襲し、余裕を持たせたマウント、鍛造化された
クランクシャフト、排ガス規制対策など、細部の変更が行わ
れている。
 最も大きく変更されたのは、5リンクリジット&コイルという
リアの足回り設計だ。これは横方向の剛性が見直され、コ
ーナリングの安定性が増している。ただしオフロード走行時
のリンク式は、左右の逆位相のストローク時にこじれが加わ
り、ストロークが確保しにくい。
 とはいえ、それはモーグルやキャンバーなどのハードステージにおいてのことで、コーナリングに
おいては舗装だろうがグラベルだろうが、02、52系の方が安定している。ステアリングのラック
&ビニオン化も図られ、操舵性は格段のレベルアップが図られた。初代ではオプションであったAB
Sも、2代目からは標準化されている。
 これらの変更は、クロスカントリー四駆としてのオールラウンド性能の中から、オンロード向けの
要素にスポットを当てた意味で、エスクードの中にSUVという側面が生まれる最初のきっかけであ
った。反面、リアブレーキのドラム式は制動力(とりわけ傾斜地停車状態での)やメンテナンスでオ
フロード向けの初代仕様を踏襲するなど、随所にエスクードらしさを残している。




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