-TA52WとTL52W-



-不評を払拭せよ! MCでフェイスリフト-
 
 2000年4月、2代目はマイナーチェンジ
を受け、2000cc5ドアモデルがLA−T
L52Wへと移行した。新基準の排気ガス対策
へ対応したものだ。
 フロントグリルのフェイスリフトを果たし、
2500ccと共通のサイドスプラッシュガー
ドを纏った、ワイドボディの5ドアと、グリル
まわりを5ドアと共通化しながら、ナローボデ
ィのままの3ドアという、2000ccシリー
ズの構成を軸にする。この2型からは、各速の
ギア比変更により、燃費の向上を図っている。
 5MT車の安全装備としてクラッチスタート
システムを搭載。4AT車に関しては、ロック
アップクラッチなどの見直しを図った。
 1600ccは3ドアのみとなるが、2WD
モデルが追加された。エスクードの原点であっ
たテンロクシリーズは、2002年11月で整
理され、2代目は2000ccのみの構成へま
とめられる。
 TL52Wについてもう一点あげると、2代目のTD時代に比べてトレッドを前後とも40mm拡張し、1500mmに
変更している(ショート系は変更無し)。実はSX4のトレッドが前1500mm、後1495mm。 ホイルベースをみる
と、TL52Wの2480mmに対してSX4が2500mm。このあたりの寸法が、コンパクトクラスとしての理想形とも
言えるかもしれない。2代目エスクードは単にサイドスプラッシュガー ドでワイド化しただけではなく、小型車枠の
なかで最大限のユーティリティと安定性を模索していたのである。


 
 2代目の登場時、最も不評を買ったのは、
初代のスクウェアなボディを面取りし、丸く
してしまったことだと言われている。
 マイナーチェンジは、フィンタイプのグリ
ルに変更し、少しでも初代のイメージに戻そ
うという渾身のフェイスリフトを行った。
 これは功を奏し、ようやく初代との進化の
系図がつながるスタイルとなった。
 しかし意外に気がつかないことだが、ポジ
ションランプを燈火させた初代と2代目を見
比べると判る。実は2代目は吊り目で、たれ
眼は初代の方なのだ。
 3ドアモデルはその後車種整理され、二度
めのマイナーチェンジで3型となる2002
年11月にラインから消えていく。3型では
直4の2000cc5ドアをベースとして、
V6−2500cc、V6-2700ccグランドエスクードの3車種に落ち着いた。5MTは直4モデルにのみ残される。
 室内での変更は、センターインダッシュの使い勝手を改善し、ナビやオーディオユニットと空調パネルが、それぞ
れ干渉しない位置に変更された。初代後の期型は、これらの位置関係が、カーナビゲーションの格納・展開式イン
ダッシュモニターというアイテム出現に対応しておらず、展開したモニターが空調パネルを隠してしまった。強気な
猛者は、オーディオユニット位置に空調パネルを力業で移してしまう(しかしそれは空調の微調整が出来なくなる)
ほどだったため、この改良は受け入れられたようだ。このほか、シフトノ ブ、トランスファーノブ、サイドブレーキバ
ー、シート形状、ステアリングなどが新デザ イン化された。


  
 それでも市場での人気回復には、大きな効果
が出たわけではない。2代目は乗用性を高める
コンセプトを与えられた分、乗り心地や居住性
では初代に勝るが、235/65R16という
太いタイヤ、増加した車重に対してJ20Aの
トルクの細さから、TD51Wよりもパワーロ
スの否めないもっさり感が出ていた。
 スズキの小型車としては質感が高まる過渡期
に入っていたが、メカニズムの面ではめざまし
い進化はなく、成熟するごとに乗用車四駆の色
合いという印象が濃くなっていく。
 特別仕様にはエアロ風バンパーと専用グリル
やサイドシルを追加したモデルも登場した。余
談となるが、この専用グリル型は、2009年
現在、2代目の中古車市場で人気を呼んでいる。
 その後、時代が変遷して3代目のエスクードがモノコックボディに「ラダーフレーム鋼材をビルトインした」ボディ構造で
登場したことで、2代目エスクードはあらためて、クロスカントリー4WDとしての素性であることが再評価される。
 もちろん、その性能は初代ほどではないし、初代の基本性能も程度問題だが、設計が古いと言われようとも、2代目はフレームを持ち、ローレンジを持つ四駆としての血筋を受け継いだ、最後の世代。同時にSUVという価値観を与えられた最初のモデルなのだ。




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