そして「もっきりや」の一夜は更ける
明けて仁成館の露天風呂に浸かる
 「秋山郷ってこういうところだったんですねえ」
 参加者が意外なことを言っているのだが、彼らが最初にここを訪ねた冬の景色はこんな具合。雪がなければ、山深いのどかな温泉郷だ。そしてなんといっても、真冬に比べれば寒さもたいしたことはない。
 もっきりやという宿の合宿所のようなムードも良い。、一汁一菜とふれこみながらも作り込まれたキノコ汁や揚げたての野菜天ぷら、そして地元産のコシヒカリを適度な硬めで炊きあげたご飯がうまい。
 だから宴会も大いに盛り上がる。
 盛り上がるといっても、これが馬鹿丸出しとりとめもない話ではなく、自然にエスクード談義になっていくところに、あらためて感心してしまう。つくばーど本家のイベントでも、これほどのエスク談義が「寝オチしているから知らないんでしょう? 夜を徹して繰り広げられていますよ」と、教えられてしまった。
 うむむ・・・ 主催側ではなく、連れて行ってもらう側に立って学ぶことは、沢山あるなあ・・・
 夜半、雨は上がっていたようだが、中秋の名月を眺めようという目論見は、実はこの展開ですっかり忘れてしまった。
 
 その十五夜の月はとうに沈んでしまった明くる朝。秋山郷は快晴の空に恵まれていた。最短距離ではどんな四駆でもたどり着くことのできない対岸に、自らの体力を使って挑む最短距離組と、めんどうだから
なにかの必要が出た場合にと回り道して車で乗り込む組とで、露天風呂に出かける。
 仁成館の露天風呂は、ややぬるめの加減ながら、切り立った山並みの景色を一望できる絶好の温泉。なるほど雪景色も紅葉見物にも抜群のロケーションだ。他県のあちこちからお客がやってくる。内風呂もあるが、露天風呂の人気は、待ち時間を発生させることもある(公式に混浴なのだが、事実上家族風呂のため)
 「近くには川原を掘って温泉をためる天然露天風呂のところもありますよ」
 体力が保たないのでそれは次回に。季節ごとに訪ねて来たくなる、それは確かにお世辞抜きの感想だ。