その発想は無いわけではないけどしてなかった


 7月18日、新月・風花夫妻の車両交代が果たされた。
 この頃、やはり92年式のサイドキックに乗っている和邇さんが、入院先の病室から

 「のまちゃんの後継機が気になって手術を受けられねえ。このあと術式で麻酔にかかって、数日ヨガの眠りに入ってしまうんだよー」

 というメールが着信している。予定通り、手術が無事に進めば、ちょうど、夫妻が新しいクルマでつくばーど基地にやってくる日が、和邇さんの覚醒と一緒になる。それを説明しながら

 「さっさと一万年の眠りに入ってしまえ」(番組が違う)と返信した。

 さらに新車披露の前日、狼駄さんが足回りをいじったセルボの調子を見ながら、北茨城まで走って帰る途中、基地に立ち寄ってくれたのだが、電話を受けたときこちらは福島県浪江町での仕事から戻る途中。
 北茨城まで・・・? そういうことは出かける前に連絡してよ!
 そんなこんなで、多くの人々が「のまちゃんの後任」を気にかけてくれていた。

 
 スフィアブルー・パールとスチールシルバーのツートンカラー。
 Slimitedの特別仕様専用色だ。
 実は6月の時点で車種のことは聞いていた。が、「二代目エスクードのSlimited」(つまり中古車。まあそれでも稀少モデル)だと一瞬勘違いした。
 まさか四代目の1400ターボが来るとは、ちょっとは期待しても、まず選択肢にないだろうと思っていたのである。

 「いえね、いろいろSUVを見ていくと、まともな積載量を持っていないんです」

 新月さんは時折、「のまちゃん」でゴルフに出かけていたので、少なくとも2セット以上のゴルフバッグの積載にこだわっていたようだ。さらに先代が活躍したゲレンデエクスプレスとしての、ベーシックな四駆の性能も。ただしそこにクロカン要素は無くてもいい。
 この日、彼等は基地の草刈と生垣剪定を手伝いに来てくれたのだが、なんと後席を倒して、のまちゃんから譲り受けた16インチタイヤ4本と、草刈り道具満載で(おいおい、バリバリの新車だぞ?)、

 「これはノマドではできなかった」

 ということだ。新月さんの課した条件はクリアされているという。

 「のまちゃんよりも鮮やかな紺色ですね! これは間違いなく『のまがみさま』の籠を受けていますねえ」

 6月に続いて、新車着任を見届けに来たクロさんも眼を細める。ノマドから取り外されたフォグランプは、クロさんのエスクードへと譲渡された。
 風花さんに念を押されたが、この時点でこの四代目は「まだ名前ありません。青いけど、つくばーどの『BLUE』に巻き込まないでくださいよ」だそうだ。

 えー? この際「すふぃあBLUE」でいいじゃんよー(笑)

 ちなみに、どういうことかというと、「BLUE」は文字通りブルーと読むが、文字列をキーボード上で平仮名読みすると「懲りない」となる。BLUEらすかる、ぷらすBLUEなど、嵐田雷蔵所有のエスクードにはそういった符丁がある。
 風花さんだって、ノマドとの付き合いを下地にすれば、立派にBLUEの系譜なのだ。

 草刈りのあと、たまたまヤマタノオジロ(嵐田霰のハスラー)も基地に置いてあったので、これも駆り出し4台で、実に久しぶりに天狗の森に上がってみる。
 ちょうど、麻酔から覚醒した和邇さんからメール着信があった。

 『貴艦の航海に幸多からンことを! って伝えてくだされ』