《超障害を爆砕せよ》
 レスキューファイアーに配備される中型ビークル第1号は、障害物粉砕と撤去能力に特化したドーザードラゴンだ。
 ドーザードラゴン本体と、ドーザーバケットを備え、アーム部も兼ねるタンクパーツ一対で構成されており、レスキューフォースの中型ビークルに見られる分割モジュールが踏襲されている。
 これは他のドラゴンシリーズや、レスキューフォースの専用ビークルとの救助連結機構を意味する。
 ファイアードラゴンよりも小振りな車体で、スクランブルモードとレスキューモードの変形構造を有している。ドーザーバケットを後方にスライドさせたスクランブルモードは全長17m、重量30tで最高速度時速180kmを誇り、この状態で現場に急行する。
 ドーザードラゴン本体は極めて強固な装甲車でもあり、バケット無しの強行突入でも巨岩を粉砕するほど頑丈だ。本体内に格納され、コクピットとなるレスキューダッシュ2には、障害物との正面衝突時に加わる衝撃はほとんど伝わらないようだ。
 レスキューモードにおいては、タンクパーツを左右展開から正面にスライドさせてバケットを前面に移動させ、全長を13mに縮小させる。
 出力はトルク重視へと調節され、最高速度は時速90kmに落ちるが、ブルドーザー能力をフルに発揮し、車体よりも大きな障害物を持ち上げ、跳ね上げてしまう。また、本体前面には牽引ワイヤーを発射するドラゴンアンカーを装備している。
 
 操縦担当は、ファイアー2こと恵(めぐみ)ユウマ。試験運用ではエンジン冷却システムの不備によって暴走・横転のトラブルに見舞われるが、初回出動では45秒という限られた安全制限時間内に、タンクパーツ部をアームとして応用し、火炎魔神をバケット左右から掴むばかりか、車体を高速スピンさせて掴んだ相手を投げ飛ばすという荒技・竜巻落としをやってのける。
 ドーザードラゴンのファイナルレスキューも、基本形はファイアードラゴンに準じている。バケットから冷凍エネルギーを放射し、目標と目標間の突入経路を瞬間凍結させ、ドーザードラゴンが突入して、目標を上空へ放り上げるバインドクラッシュの後、ダッシュ2を高速射出し、粉砕するドラゴンアタックの二段構えだ。
 なんと、パラメディックタイプの高機能救急車が、コクピットであるばかりか、火炎魔神を必殺する最終武器として打ち出されてしまう破天荒ぶりなのである。