《隠密行動で接近せよ》
 レスキューフォースに配備されていたた中型ビークルは、用途に応じた特殊作業に優れた性能を有しており、レスキューファイアーにも引き継がれた。レスキューファイアー隊長・大河リクがヨーロッパに出張し、レスキューフォース隊長・石黒鋭二のオフィスを訪ねたのは、貸与されていたレスキューストライカーを大破・全損させてしまったことの謝罪と修復状況の視察もあったが、中型ビークル配備に関する許可申請を世界消防庁上層部へ行うにあたり、石黒の承認と推薦を得るためだと思われる。
 さらに大河隊長の持参したファイルには、中型ビークルを超火災現場で運用するための改修プランが盛り込まれていた。レスキューファイアーが立ち向かうジャカエンとの戦いは、長時間を灼熱の中で対応する超火災鎮圧。ビークルごとの基本性能は申し分ないが、耐久性を今まで以上に引き上げる必要があったのだ。
 石黒は大河のプランを受けて、膝を叩いて唸った。改修といいながらも、その手法は特殊塗料によるコーティングが主たる内容で、高額なビークル維持管理費を極力抑えたものだったからである。
 第1番目に改修着手したレスキュードリルは、暗躍するジャカエンに対して地中から突入を果たす際、接近を察知されないためのステルス処理である。レーダー波吸収のために3層構造の複合材を車体に吹き付けた。最下層はサーフェイサー粘着材を塗布し、中間層に施すレーダー吸収素材を定着させる。中間層にはレーダー波吸収用のポリウレタン素材でコーティングを行い、最表層は特殊金属素材で塗装する。これは電波吸収を行う中間層が発熱するため、熱を低減させるための処理である。
 問題は、レーダーに探知されなくとも、ドリルの掘削音や機体そのものの駆動・推進音が探知材料になってしまうことだが、駆動系各部のサイレントモード化程度は行われたものと見られる。
ファイアードラゴン、レスキューショベルとの連結によるスコーピオンドラゴンショベル

※本項の改修プラン解説は、レスキューファイアー番組で語られているものではありません。